ナノキャリアの中冨一郎社長

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アルビオンは2013年10月18日、医薬品研究で高い実績を持つベンチャー・ナノキャリアと共同開発した「エクラフチュール」を発売する。

ナノキャリアが抗がん剤用に開発した最先端のデリバリーシステム「ナノセスタ」を採用し、より効果的に成分を肌の奥まで届けられるという。「ナノセスタ」とはどんなものか、ナノキャリアの中冨一郎社長に話を聞いた。

必要な場所に必要な成分を届ける技術

―ナノセスタとは、どのようなものですか。

中冨社長 水に溶けやすい部分(親水部)と、油になじみやすく水に溶けにくい部分(親油部)が1つにくっついた高分子でできています。これを水の中に入れて攪拌すると、高分子が絡み合い、外側に親水部、内側に親油部が集まった状態の「ミセル」になります。
これが「ナノセスタ」です。
これによって、組織の水になじみやすい部分と油になじみやすい部分に、別々に効果的な成分を届けることができるのです。1個当たり約100個から1000個の成分の束ですが、1個のサイズは、50ナノメートルと非常に小さいので、多くの成分を深く浸透させられます。
「ナノセスタBL」ではこの親水部と親油部それぞれに、リュウキュウガネブとクパスバターというアルビオンさんが厳選した2つの植物成分を直接結合させました。

―「ナノセスタBL」は、肌に対してどのように働くのですか

中冨社長 表面部で肌を守っている角層は水になじみやすいので、まず水になじみやすい成分(リュウキュウガネブ)が溶け出します。奥に入るにつれて段々とミセルがほぐれて、今度は粒子の中の油になじみやすく水に溶けにくい成分(クパスバター)も徐々に放出されていくわけです。ですから、肌深部まで美容成分が浸透し、必要な場所に必要な成分を送り届けることが可能なのです。このことは実験によりわかっています。

ナノキャリアの強み「浸透性」と、アルビオンのこだわり「使用感」を両立

―どのような経緯で、アルビオンとの共同開発に至ったのですか

中富社長 ナノセスタは、もともと抗がん剤研究の中で生まれたもので、素材は同じです。
表皮に浸透するという点に注目し、以前、今回の商品と同じ「エクラフチュール」という名前の化粧品を出していました。それまでミセルを使って化粧品を開発している会社は少なかったので、アルビオンさんに興味を持っていただいて、今回の共同開発ということになりました。

―共同開発の中で苦労したところはありますか

中冨社長 「餅は餅屋」といいますか、我々(編注:ナノキャリア)はどうしても皮ふへの「浸透」を第一に考えてしまうのですが、アルビオンさんは化粧品メーカーですから、「使用感」を重視されていました。本来、使用感を追求すると成分の関係で浸透は悪くなるのです。ここに葛藤がありました。けれども、両社が協力することによって、浸透性と使用感がともに実現するという素晴らしい成果が出ました。まずは使って、実感していただきたいですね。本当にびっくりしますよ。

アルビオン新美容液「エクラフチュール」は40ml(ミリリットル)で、価格は1万500円。全国のアルビオン取扱いの百貨店・化粧品専門店で対面販売する。