韓国・慶北亀尾市にある故朴正煕元大統領の生家をはじめ、亀尾市庁や警察署、学校などの公共機関に日本産カイヅカイブキ(貝塚伊吹)が植えられていることが明らかになり、波紋が広がっている。朴正煕元大統領は朴槿恵大統領の父。複数の韓国メディアが26日、報じた。

 朴正煕元大統領は第5―9代大統領を務め、軍事独裁・権威主義体制を築いた。また、日韓基本条約の締結を進め、「漢江の奇跡」と呼ばれる韓国の高度経済成長へと結びつけた。大統領としての評価が高い一方で、韓国国内の一部では日本統治時代における対日協力者・親日派とする見方もある。

 亀尾経済正義実践市民連合(以下経実連)は25日、声明を通じて朴元大統領生家近隣に日本産のカイヅカイブキが5本植栽されており、朴元大統領の親日行跡の正当化問題に飛び火する憂慮をもたらしていると述べた。

 また、日本統治時代に独立運動を行った朴喜光の銅像の周辺にも日本が原産地である木々が多数植えられていることが確認された。

 亀尾市は2011年に朴喜光の銅像を補修した。その際に抗日独立運動家の銅像には日本産の植栽は適さないという問題意識から移植も検討したが、樹齢が70−80年に達しているため、惜しいという理由で移さなかったという。

 経実連関係者は「日本産カイヅカイブキは日帝残滓(ざんし)であり、1970年代には高級庭木として流行して広く植えられたと理解する。日本産の樹木を除去しようというのでなく、独立運動家の銅像や公共機関の景観樹としては適切でないため、1日も早く移植すべき」と話したという。

 市関係者はこれに対して「まだ移植計画はないが、今後検討する」と明らかにした。(編集担当:李信恵・山口幸治)