日曜の夜、世のサラリーマンをスッキリ気分爽快にさせる半沢直樹。でも、現役銀行マンからするとそうでもないようで……

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15日の放送で瞬間最高視聴率が40%を超え、いよいよ22日の放送で最終回を迎えるTBSの人気ドラマ『半沢直樹』。今年のナンバーワン・ヒットドラマとなるのは間違いないだろう。

この人気の一方で、“アンチ半沢”の声を上げる若手銀行員が増えているという。どういうことか? 某大手銀行の若手社員(26歳)が不満を口にする。

「そもそも大手の銀行であれば、役員になる一部の人間を除くほとんどの社員がいずれは出向する運命。特別なことではないのに、ドラマの中では“出向=地獄行き”のように描かれてしまっているのに腹が立つんです。出向が決まった上司に声をかける際の気まずさが飛躍的にアップしましたよ! とぼけたふりをして『ご栄転おめでとうございます』などと言う作戦ももう通用しませんから……本当に『半沢直樹』はよけいなことをしてくれたと若手社員たちは口をそろえています」

タミヤ電機に出向中の半沢の同期・近藤を見ていると、誰でも“出向=地獄行き”と思ってしまうが……。銀行員でなければ分からないこともあるものだ。

ほかにもこんな嘆きの声が。

「毎週日曜の夜10時になると母が電話をしてきます。僕が出向したことを知っているので、近藤のようにつらい毎日を送っていると心配しているのでしょう。実際、僕の生活はドラマとかなり似た状況。翌日からの仕事がすでに憂鬱なのに、母からの電話が重なると目の前が真っ暗になります。『半沢早く終われ』が正直な思いです」(銀行から製薬会社に出向中・33歳)

こうした若手銀行員たちの不満について、元銀行員で会社員の心理法則を知り尽くしたビジネス便利屋の永嶋信晴氏はこう分析する。

「日曜の夜9時といえば、翌朝からの出社を前にサラリーマンの精神が最も敏感になっている時間帯。悪を撃退する様子を素直に楽しめる人はいいのですが、いろいろな立場があるので、心中穏やかじゃない方もいらっしゃるでしょう。また、ドラマながらリアリティにあふれていて、現実世界とのリンク度合いが高いのもアンチの声を上げる人が増える一因ですね」

銀行員の原作者・池井戸潤氏が描く世界はリアリティがありすぎて、当の銀行員にしてみると身につまされることばかり……『半沢直樹』の完成度が高すぎるゆえの弊害か。

(取材/黄孟志)

■週刊プレイボーイ39号「若者の間で『半沢直樹』死ね死ね団急増中!!」より