クラブW杯の準決勝が行われ、コリンチャンスとチェルシーが順当に決勝にコマを進めた。アル・アハリと戦ったコリンチャンスはかなり苦戦したね。前半に飛ばしすぎたのか、後半は足が止まってしまい、かなり押し込まれていた。僕も古巣ということで応援していたのだけど、試合後何人かの関係者に話を聞けば、不自然なほど出来が悪かったということだった。調整の失敗か、コンディション不良か、はっきりとはわからないけど、決勝戦にはしっかり照準を合わせてもらいたいね。

 一方のチェルシーは、それなりの下馬評で、それなりの実力で、あっさりと勝利した。モンテレイも強いチームだから、ヨーロッパ王者の強さは伊達ではないということなのだろうけど、それにしてもクラブW杯はサプライズのない大会だね。

 チェルシー戦はお客さんの入りが寂しかった。バルセロナのようなチームが来なければ、高額なチケットはなかなか売れない。開催国枠で出場し、一番売れてしかるべきの広島の試合であれだけ少ない観客数なのだから、この大会の難しさを感じる。南米王者とヨーロッパ王者を招待して行なっていた前身のトヨタカップから、大きなビジネスチャンスを見込んで拡大したわけだけど、なんだか自ら重いものを背負い込んでやっている大会という感じがするよ。

 決勝戦は、熱狂的なコリンチャンスサポーターによって、それなりに観客席は埋まるだろう。彼らの熱情は本当に凄まじい。ブラジルでは彼らがどんなふうに日本に行くのかテレビで特集されたりしているのだけど、仕事を辞めてまで来ている人もいれば、自転車や車を売って渡航費を捻出している人、離婚してまで日本に来る、という人もいるらしい。日本人には考えられないことだね。温度の高さという観点から見れば、世界のサポーター文化には日本はまだまだ追いつけないね。

 テレビ局は、ヨーロッパ代表チームを一つのバラエティコンテンツとしてしか取り上げようとせず、その方法も実にワンパターンだ。誰か注目になりうる選手、もしくは外見のいい選手をクローズアップして、サッカーの本質とは別のところで騒ぐ。やたらと「世界一を決める大会」と連呼する。とにかく視聴率を稼ぎたいとの思いがそうさせるのだろうけど、チャンピオンズリーグに日常的に触れているサッカーファンには世界3位とか世界5位などというフレーズはまったく刺さらないね。演出の仕方を変えれば、もう少しスタジアムにお客さんがいくんじゃないかな、という気はするよ。