鍵泥棒のメソッドは現在公開中。
(C)2012「鍵泥棒のメソッド」製作委員会

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先週15日から公開された『鍵泥棒のメソッド』が好発進している。

本作は、『運命じゃない人』『アフタースクール』を手がけた内田けんじ監督の4年ぶりの新作だ。
過去の作品では、先の読めない展開、パズルのように組み合わさっていく時間の流れ、ラストに待つ痛快なエンディング等、抜群のユーモアと小気味いいリズム感を持って、観客の予想をいい意味で裏切り、多くの観客を興奮させてきた。
(ちなみに『運命じゃない人』は海外・国内で数々の映画賞を受賞、『アフタースクール』大ヒットロングランという成績を残している)

そんな内田監督の今作も観客をあっと驚かせ(&笑わせ)る仕組みがいっぱい。そして思わずニンマリのエンディングが待っている。

それでは一体、どんなストーリーなのか?

ストーリー


役者とは、名ばかりで全く売れない桜井(堺雅人)はボロアパートで一人暮らし。なけなしのお金(小銭)を握りしめ、近くの銭湯で一風呂浴びようとしていたところ、高級スーツを着たコワ面の男(香川照之)が入ってきた。あまりにもこの場に似つかわしくない男が気になる桜井だったが、なんとその男が風呂場で転んで頭を殴打!すっかり気を失っている間に、桜井はふとした出来心で男のロッカーの鍵と自分の鍵を交換し、高級スーツを着たセレブな男に変身。しかし、その男は伝説の殺し屋と言われるコンドウという男だった。そのコンドウ(になりすました桜井)の元にある殺人依頼が舞い込んで……。

実力派、堺雅人と香川照之の演技マッチ


と、このように本作はある出来事をキッカケに桜井の手に負えないような事件へと発展していくサスペンススタイルで物語が進んでいく。

これまで時代劇から現代モノまで難関な役もさらりとこなし、数々の映画賞を受賞してきた堺雅人がこれまでの役とは一変、不器用で“演技のヘタ”な男を完璧に演じているのが、(堺雅人ファンには特に)たまらなく面白い。

一方、伝説の殺し屋と言われながらも、風呂場で転んで記憶を失ってしまい、“桜井”として新生活をスタートさせるコンドウ役には香川照之。彼もまた『龍馬伝』などの時代劇等に出演、歌舞伎役者としての顔も持ちながら、近作では『るろうに剣心』他、出演する作品には脇役だとしても強烈な印象を残す東大出身の頭脳派&実力派。そんな彼が、本作では“桜井”として「ボロアパートでヨレヨレのトレーナーを着て、売れない役者の生活になじもうとするシーンは単に笑えるだけでなく、香川照之のこれまでの作品を知っている人なら尚更おかしさが込み上げてくるだろう。

そんな実力派ふたりが絡み合うシーンはぞくぞくするほど面白い。まるで演技のタイトルマッチを見ているかのようだ。

可愛くない広末涼子


そして、本作のヒロインに抜擢されたのは広末涼子。彼女もまた、これまでの役とは違った“婚活中の出版社の編集長、香苗役”で出演。地味なスーツにメガネ姿の香苗は、ちょっとズレた感覚の持ち主で、いわゆる感情の変化のわかりやすい笑顔のキュートなヒロイン像とは全く違う。様々な出来事で翻弄される桜井(堺)とコンドウ(香川)の間に、決して笑わず淡々と自分の道を突き進んでいく香苗(広末)を置くことで、内田監督は本作の絶妙なバランスを保っている。

撮影では、広末涼子が可愛く映ってしまうと「NG」が出たという(笑)。……とはいえ、 OKシーンもやっぱり可愛いのですが)。

最後に


公開前に一般向けた試写会では、開演1時間前から長蛇の列。作品への期待を伺わせた。また上映が始まると何度も笑いが起こり、まるで落語の会場のよう。観客の層も様々で制服を着た女子高生から、そのお父さん・お母さん世代であろう夫婦も見られ、どんな層の方も大いに楽しんでいる様子が印象的だった。本作は、監督・キャスト・ストーリー展開といった魅力の他にも、監督のこだわった音楽や小道具、魅力的な共演者たち等、見どころがいっぱい。

しかも見終わった後に、お互いが面白かったところを言い合いたくなる。また、日本人にとってはお馴染みの役者が揃ったことで、彼らの過去の作品にまで話題が及んだりとデートにも(特に初デート!)ぴったり。きっと話の弾んだ会話を楽しむことができるだろう。
(mic)