一夜限りの汗だくライブを敢行した「SCANDAL」
8月29日、神奈川県逗子海岸にあるライブハウス「音霊 OTODAMA SEA STUDIO」で、ガールズバンド「SCANDAL」が一夜限りのライブを行った。題して「夏の終わりのスキャンダル〜いつもより若干のしっとりさを添えて〜」。そう銘打たれた通り、この日のライブは、アコースティックバージョンからスタート。彼女たちにしては珍しい腰かけスタイルで、「スイッチ」、「Very Special」、「恋模様」、「アナタガマワル」といった、比較的ライブで聴く機会が少ない曲を演奏した。

そして5曲目、ヴォーカルのHARUNAが「特別に今から大先輩のカバーをお届けしたいと思います」と言って始まった曲は、「プリンセスプリンセス」の「M」。ギターのMAMIがイントロを奏でた瞬間、会場からどよめきが起こった。ハンドマイクを片手に、声を振り絞るように歌い上げるHARUNAは、歌い終わった瞬間、「緊張したぁ・・・」と、ため息まじりに本音を洩らしつつ、「私たちも、こういった名曲を残して行きたい」と続けた。

そこからは、いつものスタンディングバージョン。メンバーがお馴染みの楽器に持ち替えると、それまで座って聞き入っていた観客も一斉に立ち上がった。ドラムのRINAのカウントで始まった曲は「welcome home」、そして「HARUKAZE」。ミディアムテンポの曲で会場の空気を一変させると、ここで9月12日発売予定の最新シングル「ピンヒールサーファー」を披露した。この曲はデビュー当初から親交の深い「TRICERATOPS」の和田唱プロデュースによる楽曲。初めて聞くファンが大半ということもあり、観客はリズムをとりつつ熱心に耳を傾けていた。

間髪入れずに演奏されたのは、ライブの定番曲「SCANDAL BABY」。イントロが流れるや否や、客席から「待ってました!」と言わんばかりの歓声が上がった。こうなったらもう止まらない。ライブ前半に温存しておいた体力を使い果たそうと、全員が拳を振り上げながら飛び上がる。それを更に煽るHARUNA。「まだまだ行くぞー!」いう掛け声を合図に始まったのは「太陽スキャンダラス」。誰もが盛り上がれる今年のサマーチューンで、会場のテンションは最高潮に達した。だがライブはまだ終わらない。最後に投下された曲は「DOLL」。タオル回しがお約束のデビュー曲で会場が一体になる頃には全員が汗だくになっていた。

メンバーがステージから姿を消した後でも会場の熱気は冷めることを知らなかった。当然アンコールだ。いつもはバンドTシャツに着替えて出てくる彼女たちだが、この日は、そのままの衣装で早めに再登場。HARUNAが「更に夏を感じたいと思います!」とコールして「太陽と君が描くストーリー」を演奏した。

本来であれば、これでライブは終了。だが、体力が有り余っている観客は、一曲のみのアンコールを許さなかった。メンバーがステージ上にいるうちから「もう一回!もう一回!」とダブルアンコールを要求。すると、にわかにメンバーがスタッフと相談を始めた。脈ありと見た観客は、口々にやって欲しい曲名を叫び始める。その声に引っ張られるように、三度メンバーがステージに立つと、ベースのTOMOMIが「いっちゃんイイやつ、やろう」と呼びかければ、HARUNAが「次の曲で絶対に殺してやるからな!」と男前に挑発。インディーズ時代のデビュー曲「スペースレンジャー」を演奏し、全80分のステージは幕を閉じた。