会場では医療器具メーカーなどの製品展示コーナーや、睡眠学に関する書籍の販売コーナーも設けられた。

また、学術関係者により制作されたポスター掲示のコーナーも設けられ、学術分野別に研究成果を報告するポスターが数多く壁に貼られた。

ユニークな発表も多くあった。

たとえば高知大学教育学部環境生理学教室の竹内日登美氏らによる「大学生アスリートの競技力の差異による睡眠習慣の違いと、生活改善の取り組みの効果」と題した報告では、高知県内の大学のサッカー部所属学生を競技力順にグループ分けした上で、睡眠や食事など、生活改善の取り組みを1カ月間にわたって実施してもらった。

その結果、短いときでも睡眠時間を6時間確保するなど、競技力の高い学生は健康維持、生活改善に対する意識が高く、競技力の上昇には睡眠習慣や生活リズムの是正が必要であることが示唆されたという。

また、福岡浦添クリニックによる「日本人とアメリカ人の睡眠呼吸障害病態の比較」と題した報告では、顎顔面形態の異常が睡眠呼吸障害の原因のひとつであることを踏まえて、佐世保基地や岩国基地の軍人および関係者の協力も経て日米の比較を実施。

その結果、アメリカ人は日本人と比べて体格の割に無呼吸の病態が軽度であり、睡眠が深い人が多い傾向が認められたと報告している。

そして、その結果から日本人は欧米人と比較して、上気道の解剖学的および機能的な相違が存在することが示唆されるという。

さらに、広島国際大学心理科学部臨床心理学科の金子凌太郎氏らによる「羊を数えると本当に眠れるのか?」という報告では、大学生98人への聴き取り調査から、実際に羊を数えて眠れた経験があると回答した学生はわずか9.2%であったと明らかにした。

その上で、「腹式呼吸の方が脳の興奮を抑えて心身ともにリラックスでき、早く眠気を催すため、羊を数えるよりは腹式呼吸の方が効果的」と結んでいる。

日本睡眠学会では、今回の学術集会の開催に先立ち、学会としてはまだ事例が少ない、FacebookやTwitterを開設し、広く周知した。

今後も広く医療関係者への参加を呼びかける方針だ。