世界最強バルセロナの象徴的な監督であったジョゼップ・グアルディオラ氏が任期満了に伴い最前線から退く決意をしたそうですね・・・・。


ひとつの時代が終わった気がします。



私の独断と思い込み自己満足シリーズが中途でかなり間が開いてしまいました。


『時代の流行と、それを駆逐する新たなフィロソフィーの登場・・・・Vol.1 アリーゴ・サッキの「革命」』


『時代の流行と、それを駆逐する新たなフィロソフィーの登場・・・・Vol.2 ヨハン・クライフ様の「改革」』



私がここ数シーズンを通じて感じたジョゼップ・グアルディオラ監督の印象は

戦略的、戦術的な駆け引きの応酬合戦の現代サッカー界に現れた久々の


「我侭サッカーを貫き通そうとする頑固者」


という印象でした。


過去のシリーズでも取り上げた監督との共通点は


「スペクタクルなサッカーで勝利する!」


そして


「相手が誰であろうとも、自分たちの魅せるべきサッカーは基本変えない!」


という強い意思を感じたことです。


過去の偉人から(特にヨハン・クライフ様)の戦術レベルでの継承と、そのバージョンアップを重ね、誰もが真似のできないサッカーを魅せてくれました。


グアルディオラ監督が率いたバルセロナの魅せてくれたプレーはサッカーの究極の姿かもしれません。特に2010−2011シーズンのチャンピオンズリーグ決勝対マンチェスター・ユナイテッド戦や、記憶に新しい2011クラブワールドカップ決勝対サントス戦などはバルセロナを能動的に破ることは不可能だろうと感じてしまったものです。サッカーの進化の過程ではなく完成形を見てしまったのではないかと・・・・妄想を抱いてしまうほどの衝撃を受けました。

その結果、私が過去より信じてきた「サッキ時代のミランが最強」という信念を揺るがされてしまったのです。(時代が違いますので比較対象にすること事態おかしいと思いますが・・・・)


現在のサッカー界で名将と呼ばれている監督さんは相手に対する対応力が優れていると思います。

相手のスタイルに合わせた作戦を立て、そして弱点を突くような駆け引きを強く感じさせてくれるのです。

監督という職業を長く安定的な生業として成り立たせる為には、まず結果を出さなくてはなりません。

その為には極端な話相手のサッカーに合わせて「負けない為のサッカー」を徹底することが、選手達へのスタイルの徹底のしやすさから自身の保身にも最も近道と言えるかも知れません。


そしてグアルディオラ監督のバルセロナは特に相手の監督や選手達にその様な思惑を抱かせるクラブでありました。

普段ラン&ガンスタイルで得点を多く挙げているクラブもバルセロナと対戦する際はある程度のボール保持をバルセロナに委ねつつ中盤とゴール前に固い守備ブロックを敷き後衛にてボール奪取を試みるスタイルへの変容を余儀なくされていました。


この辺からも如何に現在のバルセロナが我儘かが解りますよね〜^^


今シーズンのバルセロナは結局無冠に終わってしまうかもしれませんが、「世界最強」というイメージは変わらないのではないでしょうか?


ヨハン・クライフ様がバルセロナに宣教師として1988年に降臨し改革が始まりましたが、レシャック、ファンハール、ライカールトと継承されたクライフイズムがグアルディオラ監督によって一端の完結を見たような気がします。


世間がフィジカル重視のアスリート選手達がガッチガチに当たり合うまるでアメフトの様な試合が当たり前になっていた時代に、バルセロナは決してフィジカルが優れているわけではなく、体を当てられてしまう前にボールを動かしてしまうテクニックとスピードのある選手達の集まりでありました。正に時代に逆らっているような哲学であったことが余計に存在自体を際立たせてくれたと思います。


そして継続してその様な選手達が育ってくる下部組織の存在価値を高めてくれました。


過去より下部組織が優れていると言われていたクラブは多数存在しましたが、ボスマンルールの浸透と金満拝金主義の横行により存在価値が薄れていた状況であったサッカー界に「お金の掛け方」を考えさせてくれたのではないでしょうか?


そして・・・・グアルディオラ監督がクラブに、世界中のサッカーに携わる方々に齎したものは


過去の偉人もそうでしたが、攻撃的なスタイルの哲学を持ったクラブがその後世のスタイルを一時的にせよ変貌させる要因になりますが、結局再びその哲学の最良と思われる一部分を採用されますが「負けないサッカー」への過去回帰を起こすことは真理であります。


「攻撃的なスタイルは選手、監督ともに長続きしない」


最早避けようのない真理ですが、グアルディオラ氏が昇華させた哲学はバルセロナ文化として自他認められた感があります。

グアルディオラ氏後、仮にどなたがクラブを率いるかは解りませんが、4−3−3とボールポゼッションを重視するスタイルの徹底はクラブやソシオが譲ることのない哲学になったかもしれません。


過去もそうでしたが結果が出なくとも貫かれるであろうスタイルになったのではないかと思います。

 そして一旦完成した感のあるバルセロナイズムを再び昇華させてくれる哲学者が何方になるかは将来に向けて非常に興味深いことです・・・・。 




 グアルディオラ氏はクライフ様が監督時代にカンテラから発生した正にバルセロナイズムの権化と呼ぶことの出来る選手でした。

現役時代は特にフィジカルやテクニックが突出したイメージは持っていませんでしたが非常に頭が良く、ボールを散らすのがうまいなぁと思った選手でした。

クライフ様の理想を100%理解が出来た初めての選手だったのではないかと思います。

現在現役選手であるシャビ、イニエスタ、ブスケッツ、プジョールといったカンテラ出身選手が将来監督という職業を生業にするつもりであれば・・・・グアルディオラ氏と同等・・・・いやそれ以上に哲学を感じさせてくれる我儘な監督になってくれるのではないかと期待をせずにいられません。




グアルディオラ氏がバルセロナの監督に就任すると知った際は「面白い!が、結果が齎されるには少々時間が掛かるだろう」と思ってしまったものです。

まさか就任初年度にリーグ優勝とチャンピオンズリーグ優勝を果たすとは!と驚いてしまいました!

ライカールト政権から継承した部分もあったのでしょうが、2008−2009シーズンのチャンピオンズリーグ決勝戦は比較の仕様の無い強さを感じました!

私が妄想を抱いているサッキ監督時代の1988−1989シーズンのチャンピオンズカップ決勝戦で受けた衝撃ほどではありませんでしたが、(良かったら見てください『88−89 Champions cup・・・・Vol.2 決勝戦 A.C.Milan vs F.C. Steaua Bcharestあまりにも一方的な圧勝劇!』)かなりの衝撃を私に与えてくれました!



グアルディオラ氏はもしバルセロナの監督を辞めるとしたら自身から辞し、そして他クラブの監督をすることはないと思っていました。


本当にお疲れ様でした。わずか4シーズンの間でしたが世界サッカー界に与えた衝撃は過去に類を見ないものでした!

暫くはお休みいただいて英気を養ってください。

但し、クライフ様の様に隠居するには早すぎると思いますよ!必ずサッカー界の最前線に復帰して来てください。

あなたは外見と同様「哲学者」としての素養は抜群だと思いますから!