(C)2012『ポテチ』製作委員会<br />(C)2007伊坂幸太郎/新潮社
 『アヒルと鴨のコインロッカー』(2007年)や『ゴールデンスランバー』(2010年)など、これまでに宮城・仙台市を舞台にした作品を次々と発表してきた伊坂幸太郎(原作)と中村義洋(監督)。昨年3月11日に発生した東日本大震災を経て、5月に映画化の企画を立ち上げると、これまで共に映画を作ってきた仲間や仙台サポーターが再集結し、被災地となった仙台にてオールロケを敢行しました。4月7日より仙台先行、5月12日より全国ロードショーとなる映画『ポテチ』は、宮城・仙台市から東北へ、そして日本全国へ、本編68分間に想いを込めて贈る、強くあたたかい家族の物語です。

ポテチ

 プロ野球のスター選手・尾崎と、空き巣を生業とする凡人・今村、別々の人生を歩んでいるかのように思えた2人は、目に見えない強い力で引き寄せられていった…。

【元気のポイント】目には見えないけれど、確かに存在する強い絆

 平穏を取り戻すにつれ忘れてしまいがちですが、震災からの一年、日本国内のみならず世界各国から差し伸べられる支援の手や祈りの声に、話す言葉は違えども、世界中の人が繋がっていることを誰もが感じたのではないでしょうか。

濱田岳が演じる主人公の今村は、空き巣を生業とする凡人です。その彼が特別な感情を寄せるのは、プロ野球のスター選手・尾崎。別々の人生を歩んでいるかのように思えた2人の青年は、実は26年前の同じ日に生まれ、運命に導かれて再び出会うことに。そんな彼らの奇妙な繋がりを通じて、家族や恋人、友人、大切な人を想うあたたかな気持ち、そして目には見えないけれど確かに存在する強い絆が描かれています。凡人の息子が母を想う、深く清々しい愛にも心打たれ、ラストに訪れる爽やかな感動は、観客一人一人の明日への一歩に繋がるハズ。

音楽を担当するのは、伊坂幸太郎×中村義行作品の『フィッシュストーリー』や『ゴールデンスランバー』でもコラボレーションを果たしてきた、シンガーソングライターの斉藤和義。昨年4月にセルフカバーの反原発ソング「ずっとウソだった」をYouTubeにアップし、被災者へのチャリティーライブをUSTREAMで配信するなどメッセージを発してきた彼が、エンドロールで流れる主題歌「今夜、リンゴの木の下で」を書き下ろしています。

【東北文化】オール仙台ロケ、500名以上の仙台市民がエキストラ出演

 「仙台城跡」の天守台から撮影されたタイトルバックに始まり、冒頭で今村が尊敬する空き巣のプロ・黒澤(大森南朋)とベンチに座り会話を交わす「勾当台公園」は、『ゴールデンスランバー』で堺雅人が演じる主人公が逃亡の果てに投降した場所でもあります。その他にも、仙台を代表する創業193年の老舗百貨店の「藤崎」や、人気カジュアルダイニングレストランの「MEALS」、東北一の歓楽街・国分町にある居酒屋の「網元 上の家」、市内中心部にある「仙台国際ホテル」、そして500名を超える仙台市民がエキストラとして登場しているクライマックスの「仙台市民球場」まで、8月末からわずか8日間のタイトスケジュールで、オール仙台ロケが敢行されました。

「宮城・仙台で、できるだけ早く、また皆で映画をつくる。それが私たちにできることだと思いました。」という製作スタッフの想いから完成した渾身の68分。公式サイトでは仙台ロケMAPも公開されているので、仙台駅を起点に市内中心部のオススメ観光スポットを循環する「るーぷる仙台」でロケ地めぐりも楽しめます。

【まとめ】あなたが好きな『ポテチ』は何味?

 自分が生まれ育ったり、住み慣れた土地は、きっと誰にとってもかけがえのない特別な場所となることでしょう。たとえ自分とは無関係だったとしても同郷の有名人に親近感を覚えるように、スクリーンの中に映る自分の故郷を目にした時、人はその土地だけでなく、そこに関わりをもった自分自身をも誇りに思えるのではないでしょうか。

球場でヒーローの尾崎と背中合わせに立つ今村が手にしているのは、塩味の『ポテチ』。あなたは何味が好きですか?

映画『ポテチ』オフィシャルサイト
「東北・映画で元気に復興」特集ページ

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