栗山英樹は野球人か、TV人か|野球史

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日本ハムの次期監督になった栗山英樹という野球人について、どれだけの人がそのプレーを記憶しておられるだろうか。むしろ、引退後のTVメディアの人としての印象のほうが強いのではないか。

わずか7年の現役生活。89年にようやくレギュラーとなり、ゴールドグラブをとったと思ったら翌年引退。すぐにキャスターになってしまった。メニエル症候群という持病があったようだが、実にあっけない。選手時代はミートが巧みだったが非力で早打ち。犠打が多かった。足はそれほど速くはなかったが、守備範囲は広く肩もよかった。

確か「プロ野球ニュース」のオフ企画に出演して、非常に好感度が高かったように記憶している。テレビ局はかなり早くから目をつけていたのではないか。

選手生活は7年、引退後のテレビ人としては20年。はるかにキャリアが長い。指導者としては全く経験がない。佐々木信也のようなキャリアを歩むのかと思ったが、いきなりの監督就任。NPBでもMLBでも監督になるのは、現役時代の実績十分な大選手、名選手か、引退後コーチとして修業を積み、周囲に認められた人物か、いずれかだが、栗山はどちらでもない。珍しいケースだと思う。口は悪いが、彼は「知名度」だけで監督になったということになるだろう。手腕は全くの未知数だ。

彼の解説は「わかりやすさ」が身上だった。しかし彼の解説で「目から鱗」が落ちたことはない。また著書も観戦者のためのガイドであって、勝つためのメソッドではなかったように思う。

周囲には、しっかりしたコーチ陣を排してほしいと思う。実績がものをいう社会で、この軽量監督はどんな采配をふるうのか。多少心もとない感じがするが、手腕を見ていきたい。