最近の起業家は気持ち悪い、そしてそもそも起業家ではない。

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今回は、『はてな匿名ダイアリー』から転載させていただきました。

■最近の起業家は気持ち悪い、そしてそもそも起業家ではない。
最近日本のスタートアップが活気づいている。学生を含め、多くの若者が会社を立ち上げ、明日のザッカバーグの夢を見ている。
(その夢の姿は往々にして『ソーシャル・ネットワーク』そのままだ)

だがきっとその夢は一生叶うことはない。残念ながら。
グレアムの言葉にしたがって楽天家を演じている日本人起業家の皆さんは私に向かってこう言うだろう。「どうして君はそんなこと言うんだ? 俺たちは世界を変えるんだ。大変かもしれないがそれは不可能ではない。『Facebook』を見ろ」

オーケー、オーケー、確かに起業家は世界を変える力を持つ。それはすばらしいことだ。
だがそもそもあなた方は起業家なのか? ザッカバーグなのか?
自問してみよう。残念ながら違うことに気づくはずだ。あんた方はただの“タレント”だ。

日本のスタートアップ環境は極めて特殊である。
そもそもスタートアップと言って良いのかさえ分からない。
それはこう言い表せる。

“変質的なまでの人物志向、つーかプロダクトなんてクソ食らえ!!”

日本のスタートアップ環境は、企業の評価を人物のみで行う。その人が有名であるか否かでだ。
有名人がプロダクトをリリースすれば、クソみたいなプロダクトでも盛んにRTされ、絶賛される。誰も使わないが。
一方、無名の人が素晴らしいプロダクトをリリースした場合、それはほとんどフックアップされない。

さっきRTしてた連中は、TechCrunchに取り上げられるまでは自分から面白いサービスを見つけようとしないし、そもそも面倒くさがっている。うーん、話が見えづらいかもしれない。つまり、こういうことだ。

アメリカ「この『Facebook』ってサイトはCoolだね。誰が作ったんだ? ザッカバーグか。すごいな」
日本「あのザッカバーグがプロダクトリリースしたぞ!! すごい! すごい! さすがザッカバーグ! で、何てプロダクトだっけ?」

圧倒的なまでの人物本位。プロダクトは二の次。プロダクトを生み出すのが起業家なのに!!

「でも、その人物に実績があれば良いじゃないか。僕はジョブズが何か新しいことをすると聞けばワクワクするよ。彼はいつも素晴らしいプロダクトを生み出してきた実績がある」

オーケー、確かにその通りだ。それは認める。僕だって『iPhone5』には期待している。
だが実績の面でも日本のスタートアップは何かがおかしい。例えば日本では、“学生”というだけで起業家が評価される。まだプロダクトもリリースしていないのに!!
(そして、実際リリースされるプロダクトもだいたい……だ。悪いけど)

実績評価においても日本のスタートアップ環境は“プロダクトなんてクソ食らえ”を貫いているわけだ。
涙が出るね。いやほんと。

こんな状況で今恐ろしい事態が起こっている。素晴らしいプロダクトを生み出す人よりも、Blogで名前を売るのが得意な人のほうに注目が集まっているんだ!! 彼らはBlogに時間をかけて、“いかにも起業家でござい”というようなことをしきりに書く。読者に“この人はすごそうだし、何かやるぞ”と思わせるわけだ。

そして注目が集まった時点で起業する。あとは、さっき言ったとおりクソみたいなプロダクトがでて、RTされて、誰も使わず終わる。

でもカンファレンスとかに呼ばれて、“僕は起業家だ”というどうでもいいプレゼンをする。彼らは残念ながら、“自分を売り込んで偽装する才能”はあるが“起業家としての才能”はない。

これが、僕が日本の起業家を“タレント”と言った由縁だ。

まだ信じられない人がいるかもしれない。だが見てみろ。『Twitter』では、自分のプロダクトが流行っていないのに、自分の考え方を熱心に説いてる自称起業家がいっぱいいる。
彼らはタレントだ。当てにするな、耳を塞げ。ほらあっちにも起業家だ。

Blogでは良いことばっか書いてるが、リリースされたプロダクトはクソだ。あれもタレントだ。

残念ながら、この状況で日本から『Google』や『Facebook』を生み出すことを期待するのはよした方が良い。
日本のスタートアップ環境は、薄暗い部屋でコードを書き続け、未来を作っている薄汚いギークよりも、世間の空気に媚(こ)びへつらい、自分を偽装するのがうまいタレントを欲している。

ジョブズは何で有名になった? Macという素晴らしいプロダクトだ。
ページとブリンは? 『Google』という素晴らしいプロダクトだ。
家入一真は? 『ロリポップ』という素晴らしいプロダクトだ。
決して、人物から有名になったわけではない。今の状態が続けば、素晴らしいプロダクトは生み出せないが起業家ぶるのが上手い人物だけがのさばることになる。

そこに渦巻くのは自己欺瞞だけだ。“世界を変える”なんていうのも、陳腐なパフォーマンスに成り下がる。

もし、この記事を読んで状況を変えたいと思う人がいるのであれば、代わり映えのしないBlogや『Twitter』をたたんで、雑音を閉ざし、自分からプロダクトをフックアップしていってほしい。
そのプロダクトを誰がやっているのかは関係ない。ただただ素晴らしければ、力になってあげれば良いんだ。プロダクトのみが自己表現。そんな人だけを見つけよう。

PS.
この記事を読んだ“優秀なタレント”の皆さんは、その能力をフルに生かして、
上手く“自分はタレントでなく、起業家だ”と偽装することに成功するだろう。

今からでも想像できる。例えば、「僕はこうならないように気をつけている。毎日。RT……」みたいな感じでだ。クソ食らえだ。文を書くのを辞めろ。プロダクトだけで自分を語れ。

転載元:こちらは匿名投稿『はてな匿名ダイアリー』からの転載です。
画像:写真素材 足成
http://www.ashinari.com/