数字から見えるセパ先発投手の差|2011年NPBペナントレース

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交流戦が始まった。今年はセリーグが頑張っているなと思ったが、早くもパの15勝12敗2分と逆転された。もはやセパの実力差は明白ではないか。なかでも先発投手の差が大きいように思う。それをいろいろな数字で見てみる。

ERAは防御率。DIPSはセイバーメトリクスの一つ。{(与四球−故意四球+死球)×3+被本塁打×13−奪三振×2}÷投球回+3.12の数式で導き出されるが、要するに守備の乱れや幸運な安打など他者の要素を排除した投手本来の実力を示すとされる。ERA-DIPSは、投手の名目上の実力(ERA)と本来の実力(DIPS)の差異。これがプラスになれば、防御率が示す以上に実力があることを示す。WHIPは(安打+四球)÷投球回。いかに走者を出さなかったか。投手の安定感を示す。H/9は完投すれば何安打されるか。同様にB/9、K/9、HR/9は完投した際の四球、三振、本塁打の数値。

まずはパリーグ先発投手陣。相変わらずの貧打が続くNPB。その分投手成績は素晴らしくなるのだが、ERA1点台が7人、DIPS2点以下が11人。いろいろな投手データを見ているがシーズン通じてDIPSが2点代になる投手は年に1〜2人しかいない。これは凄い数字だ。同様にWHIP1点以下も年に2〜3人なのだが14人もいる。統一球の効果恐るべしと言う感じだ。

ダルビッシュは開幕戦で自責点7。これが響いてERAは2点代だがDIPSは抜群の1.85。パリーグでもすばぬけた存在であることが分かる。それに続いて成瀬が素晴らしい。48回投げて四球はわずかに1。しかもK/9は10.3。3勝2敗防御率2.25という一般的な数字を見れば、まずますの成績と思ってしまうが、成瀬は実際にはすごい数字を上げている。防御率トップの杉内よりも内容は良い。さらに田中将大の内容もダルビッシュに迫るものだ。

このままの数字で行けば、パリーグは空前の記録ラッシュになるかもしれない。

続いてセリーグ

はっきりいって見劣りする。防御率1点台が6人いるが、DIPS2点台は3人だけ。WHIP1点以下も1人だけ。全体に好成績なのは同様だが、スケールが小さい感じがする。中で吉見一起は被本塁打が1本もないなど素晴らしい。新加入のバリントンは数字で見ても安定感がある。内海哲也はERAは2位だが、DIPSは15位。これは点は取られていないが投球内容は決してよくないことを示している。

セパ両リーグの先発投手で決定的に違うのは、WHIPSとB/9の数字だ。セリーグの投手は完投すれば少なくとも2個前後の四球を出すが、パリーグは1個前後。そして1イニング当たりの走者数も明確な差がある。セの投手はパよりもコントロールの精度が低くて余計な走者を出す。その分投球内容が悪くなるということではないか。

セパでは四球、そして走者を出さないことへの認識が異なっている。これは投手の実力もさることながら、野球に対する考え方が違っているのではないかと思う。この数字を見る限りセリーグの野球の方が「甘い」感じがする。