U-22 ロンドン五輪代表 豊田合宿メンバー23名 雑感
■ まもなくアジア予選
2012年のロンドン五輪のアジア二次予選が迫ってきているが、それに向けてU-22日本代表が5月16日から18日に豊田市で合宿を行うことになった。二次予選はクウェートと対戦する予定で、ホーム&アウェーの一発勝負なので「負けたらロンドン行きの夢が断たれる。」という大一番となる。
関塚監督率いる日本代表は、昨年11月のアジア大会を除くと、ほとんど、まとまった合宿が行えておらず、海外組を含めたフルメンバーで試合をしたこともない。そのため、シドニー五輪、アテネ五輪、北京五輪の代表チームと比べても、準備が遅れているので、厳しい戦いになることが予想される。
今回の合宿のメンバーは、ベースはアジア大会のメンバーで、そこに、Jリーグで活躍している選手が、順当に選ばれたといえる。アジア大会で主力だった選手が、必ずしもこの世代のベストプレーヤーではなかったが、予選まであまり時間もないので、彼らを軸にする方法は間違いではないだろう。
ゴールキーパー
→ GKは、1月のアジアカップの日本代表でもあるFC東京のGK権田がゴールを守るのは確実であり、他には、京都サンガのGK守田と、流通経済大学のGK増田が選ばれている。実力、経験ともにGK権田がこの世代では抜けているので、GK権田にアクシデントがないことを願うのみである。
センターバック
→ CBを本職とするのは、アルビレックス新潟のDF鈴木、浦和レッズのDF濱田の二人で、セレッソ大阪のDF扇原のセンターバックとして考えられているようである。
アジア大会では、川崎FのDF薗田がレギュラーに入って金メダルに貢献したが、Jリーグで完全にレギュラーに定着している選手がほとんどおらず、J2を含めても、湘南ベルマーレのDF遠藤と京都サンガのDF福村くらいである。候補となる選手自体がほとんどいないので、アジア大会を経験したDF鈴木に期待するしかない状況で、人材難は深刻。もっとも不安なポジションである。
サイドバック
→ 逆に、サイドバックは人材で、DF實藤、DF比嘉というアジア大会のレギュラー組の他に、甲府のDF吉田、柏レイソルのDF酒井、新潟のDF酒井が選ばれた。ともにJ1でレギュラーをつかんでおり、3人とも、右サイドでも、左サイドでもプレー可能である。
北京世代も、DF長友、DF内田、DF安田とサイドバックに優れた人材がいたが、この世代もタレントが豊富で、浦和レッズのDF高橋峻、FC東京のDF椋原、DF阿部、セレッソ大阪のDF丸橋らも、メンバー入りして、おかしくない実力を備えている。
注目は柏レイソルのDF酒井で、サイドバックだけでなく、センターバックでもプレー可能で、フィジカルの強さは日本人離れしている。初招集となるが、いきなりレギュラーを勝ち取る可能性も十分に考えられる。
ボランチ
→ ボランチは、大宮アルディージャのMF青木、流通経済大学のMF山村、ジュビロ磐田のMF山本康、カターレ富山のMF平出、セレッソ大阪のMF山口の5人が選出された。このポジションは、MF山村とMF米本のダブルボランチで落ち着きそうだったが、ここにきてMF米本が怪我で長期離脱となったため、新たな問題が発生した。
個人的には、MF山村のボランチ起用はあまり魅力を感じないが、アジア大会やウズベキスタン遠征での起用方法を考えると、「MF山村がチームの軸」となっているのは確実で、当面は、MF山村のパートナー探しが焦点となる。アジア大会でレギュラーだったMF山口蛍が有力のように思えるが、大宮でポジションをつかんだMF青木や、磐田のMF山本康にもチャンスはある。
残念ながら、このポジションも、あまり人材豊富とはいえず、Jリーグでポジションをつかんでいる選手は少ない。今後は、ゲームを作れるタイプの柏レイソルのMF茨田、浦和のMF山田直、東京VのMF小林祐らの台頭に期待したいところである。
攻撃的MF
→ 人材の豊富な攻撃的MFは、世界と対等に渡り合える唯一のポジションとなっている。ドルトムントのMF香川はA代表優先という方針のため、アジア予選は参加しないことが濃厚であるが、FW宮市は関塚監督もオランダに視察に訪れており、クウェート戦では招集される可能性はある。今回は、エールディビジの試合があるので合宿には参加できないが、ぶっつけ本番でも、あのスピードは武器になるだろう。
このポジションで選ばれたのは、MF水沼、MF東、MF原口の3人。しかし、フォワード登録のFW山崎とFW小野もこのポジションでプレーすることになりそう。また、ボランチがメインのMF山本康も、磐田では右サイドで起用されているので、このポジションで試合に出場することも考えられる。
したがって、この6人に、今回の合宿は、5月20日(金)にJリーグの試合があるため招集が見送られたと思われるセレッソ大阪のMF清武とFW宮市を含めた計8名でレギュラーの座を争うことになるだろう。
有力なのは、アジア大会のレギュラーだったFW山崎、MF東、MF水沼のトリオで、この3人に、MF清武、MF原口、FW小野、FW宮市といった力のある選手がどこまで迫れるか。このポジションは、攻撃力だけでなく守備力も重要視されるので、FW宮市はやや厳しいかもしれないが、途中出場でも力を発揮するタイプなので、メンバー入りを期待したいところである。
ここまでで名前が挙がった選手だけでも相当なメンバーであるが、他にも、徳島ヴォルティスのMF柿谷、柏レイソルのMF大津、清水エスパルスのMF大前、東京ヴェルディのMF河野、コンサドーレ札幌のMF古田、清水エスパルスのFW高木俊、湘南ベルマーレのMF菊池、FC岐阜のFW押谷、愛媛FCのFW齋藤学あたりは、メンバーに入ってきてもおかしくないポテンシャルを秘めており、本当に人材は豊富である。
一方で、ウズベキスタン遠征で本来のプレーが見せられなかったG大阪のMF宇佐美は、リーグ戦では本来のプレーができておらず、MF原口やFW小野との兼ね合いで落選となったと思われる。ポテンシャルは?1であるが、守備力や運動量で見劣りする部分があるので、クウェート戦で招集される可能性は低いように思われる。また、A代表キャップを持ちながらも、この世代の代表にあまり縁のない名古屋のFW金崎は怪我をしているので、今回の合宿にも呼ばれていないが、これまでも関塚監督には呼ばれておらず、クウェート戦のメンバーに入ってくる可能性は非常に低い。
フォワード
→ FW登録であるが、横浜FMのFW小野、ジュビロ磐田のFW山崎は2列目で起用されることが濃厚なので、1トップ役は、名古屋グランパスのFW永井、鹿島アントラーズのFW大迫とどちらかとなりそう。FW永井は名古屋ではサイドでプレーすることもあるので、FW大迫の1トップで、FW永井がサイドに回ることも考えられなくもないが、2列目の人材は豊富なので、その可能性は低いだろう。
レギュラーが有力なのはFW永井で、J1ではまだゴールは生まれていないが、ACLでは結果を残しており、このチームでの実績も十分である。クウェート戦では、FW永井の出来にかかってくるところが大きいように思われる。
メンバー外の選手では、スペイン3部でプレーするFW指宿、セレッソ大阪で出場時間を増やしつつあるFW永井龍、パワーのあるアルビレックス新潟のFW川又らに期待がかかるが、センターフォワードタイプはほとんどいない。世代は1つ下になるが、J2の京都ですでに2ゴールを挙げている17歳のFW久保が、今後、代表に呼ばれる可能性も無いとは言えない。
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関塚監督率いる日本代表は、昨年11月のアジア大会を除くと、ほとんど、まとまった合宿が行えておらず、海外組を含めたフルメンバーで試合をしたこともない。そのため、シドニー五輪、アテネ五輪、北京五輪の代表チームと比べても、準備が遅れているので、厳しい戦いになることが予想される。
ゴールキーパー
→ GKは、1月のアジアカップの日本代表でもあるFC東京のGK権田がゴールを守るのは確実であり、他には、京都サンガのGK守田と、流通経済大学のGK増田が選ばれている。実力、経験ともにGK権田がこの世代では抜けているので、GK権田にアクシデントがないことを願うのみである。
センターバック
→ CBを本職とするのは、アルビレックス新潟のDF鈴木、浦和レッズのDF濱田の二人で、セレッソ大阪のDF扇原のセンターバックとして考えられているようである。
アジア大会では、川崎FのDF薗田がレギュラーに入って金メダルに貢献したが、Jリーグで完全にレギュラーに定着している選手がほとんどおらず、J2を含めても、湘南ベルマーレのDF遠藤と京都サンガのDF福村くらいである。候補となる選手自体がほとんどいないので、アジア大会を経験したDF鈴木に期待するしかない状況で、人材難は深刻。もっとも不安なポジションである。
サイドバック
→ 逆に、サイドバックは人材で、DF實藤、DF比嘉というアジア大会のレギュラー組の他に、甲府のDF吉田、柏レイソルのDF酒井、新潟のDF酒井が選ばれた。ともにJ1でレギュラーをつかんでおり、3人とも、右サイドでも、左サイドでもプレー可能である。
北京世代も、DF長友、DF内田、DF安田とサイドバックに優れた人材がいたが、この世代もタレントが豊富で、浦和レッズのDF高橋峻、FC東京のDF椋原、DF阿部、セレッソ大阪のDF丸橋らも、メンバー入りして、おかしくない実力を備えている。
注目は柏レイソルのDF酒井で、サイドバックだけでなく、センターバックでもプレー可能で、フィジカルの強さは日本人離れしている。初招集となるが、いきなりレギュラーを勝ち取る可能性も十分に考えられる。
ボランチ
→ ボランチは、大宮アルディージャのMF青木、流通経済大学のMF山村、ジュビロ磐田のMF山本康、カターレ富山のMF平出、セレッソ大阪のMF山口の5人が選出された。このポジションは、MF山村とMF米本のダブルボランチで落ち着きそうだったが、ここにきてMF米本が怪我で長期離脱となったため、新たな問題が発生した。
個人的には、MF山村のボランチ起用はあまり魅力を感じないが、アジア大会やウズベキスタン遠征での起用方法を考えると、「MF山村がチームの軸」となっているのは確実で、当面は、MF山村のパートナー探しが焦点となる。アジア大会でレギュラーだったMF山口蛍が有力のように思えるが、大宮でポジションをつかんだMF青木や、磐田のMF山本康にもチャンスはある。
残念ながら、このポジションも、あまり人材豊富とはいえず、Jリーグでポジションをつかんでいる選手は少ない。今後は、ゲームを作れるタイプの柏レイソルのMF茨田、浦和のMF山田直、東京VのMF小林祐らの台頭に期待したいところである。
攻撃的MF
→ 人材の豊富な攻撃的MFは、世界と対等に渡り合える唯一のポジションとなっている。ドルトムントのMF香川はA代表優先という方針のため、アジア予選は参加しないことが濃厚であるが、FW宮市は関塚監督もオランダに視察に訪れており、クウェート戦では招集される可能性はある。今回は、エールディビジの試合があるので合宿には参加できないが、ぶっつけ本番でも、あのスピードは武器になるだろう。
このポジションで選ばれたのは、MF水沼、MF東、MF原口の3人。しかし、フォワード登録のFW山崎とFW小野もこのポジションでプレーすることになりそう。また、ボランチがメインのMF山本康も、磐田では右サイドで起用されているので、このポジションで試合に出場することも考えられる。
したがって、この6人に、今回の合宿は、5月20日(金)にJリーグの試合があるため招集が見送られたと思われるセレッソ大阪のMF清武とFW宮市を含めた計8名でレギュラーの座を争うことになるだろう。
有力なのは、アジア大会のレギュラーだったFW山崎、MF東、MF水沼のトリオで、この3人に、MF清武、MF原口、FW小野、FW宮市といった力のある選手がどこまで迫れるか。このポジションは、攻撃力だけでなく守備力も重要視されるので、FW宮市はやや厳しいかもしれないが、途中出場でも力を発揮するタイプなので、メンバー入りを期待したいところである。
ここまでで名前が挙がった選手だけでも相当なメンバーであるが、他にも、徳島ヴォルティスのMF柿谷、柏レイソルのMF大津、清水エスパルスのMF大前、東京ヴェルディのMF河野、コンサドーレ札幌のMF古田、清水エスパルスのFW高木俊、湘南ベルマーレのMF菊池、FC岐阜のFW押谷、愛媛FCのFW齋藤学あたりは、メンバーに入ってきてもおかしくないポテンシャルを秘めており、本当に人材は豊富である。
一方で、ウズベキスタン遠征で本来のプレーが見せられなかったG大阪のMF宇佐美は、リーグ戦では本来のプレーができておらず、MF原口やFW小野との兼ね合いで落選となったと思われる。ポテンシャルは?1であるが、守備力や運動量で見劣りする部分があるので、クウェート戦で招集される可能性は低いように思われる。また、A代表キャップを持ちながらも、この世代の代表にあまり縁のない名古屋のFW金崎は怪我をしているので、今回の合宿にも呼ばれていないが、これまでも関塚監督には呼ばれておらず、クウェート戦のメンバーに入ってくる可能性は非常に低い。
フォワード
→ FW登録であるが、横浜FMのFW小野、ジュビロ磐田のFW山崎は2列目で起用されることが濃厚なので、1トップ役は、名古屋グランパスのFW永井、鹿島アントラーズのFW大迫とどちらかとなりそう。FW永井は名古屋ではサイドでプレーすることもあるので、FW大迫の1トップで、FW永井がサイドに回ることも考えられなくもないが、2列目の人材は豊富なので、その可能性は低いだろう。
レギュラーが有力なのはFW永井で、J1ではまだゴールは生まれていないが、ACLでは結果を残しており、このチームでの実績も十分である。クウェート戦では、FW永井の出来にかかってくるところが大きいように思われる。
メンバー外の選手では、スペイン3部でプレーするFW指宿、セレッソ大阪で出場時間を増やしつつあるFW永井龍、パワーのあるアルビレックス新潟のFW川又らに期待がかかるが、センターフォワードタイプはほとんどいない。世代は1つ下になるが、J2の京都ですでに2ゴールを挙げている17歳のFW久保が、今後、代表に呼ばれる可能性も無いとは言えない。
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