昨日の黒田博樹の出来は、前戦のSF戦とほぼ同じだったと見てよいのではないか。



立ち上がりからシンカーが、右打者の内側低めにきっちりと決まっていた。ときおり緩い変化球を見せながら、シンカーで打ち取っていく(公式サイトではスプリッターとなっていたボールは小さな曲がりのフォークではなかったか?)。

この間から思っていたのだが、黒田は見逃せばボールになる球を非常にうまく使っている。シンカーもミットに収まったところではボールになっているケースが結構ある。だから投球数に占めるボールの数は少なくないのだが、それでも四球はほとんど出さない。このあたりが、投げた瞬間から明らかにボールとわかる球を投げる松坂との違いだ。いかに微妙なコースをついているか、ということだ。

いつものようにすいすいと5回まで投げる。思い切って右打者のインコース高めに投げこむことができるのは、言うまでもなくMLBで一番本塁打が出にくいペトコパークだからだ。ヘッドリーなどは芯でとらえていたが、ウォーニングトラック前で余裕でキャッチされていた。

6回、黒田はやや息が上がってくる。ロブ・ジョンソンはお世辞にも好打者とは言えないが、この試合では黒田の球をじっくり見ていた。6回先頭打者のロブは最終的には打ち取られたもののここまで最長の6球まで粘った。シンカーの精度がやや落ちたと思えたのはこのときだ。

6回は何とか乗り切ったが、7回、シンカーでストライクが取れなくなる。球速も落ちて、一死満塁。デンフローラの併殺で何とか切り抜ける。
8回はロブ・ジョンソンに二塁打を打たれたがべナブルの鋭い当たりを一塁ロニーが好捕して事なきを得た。

9回の時点で黒田はへろへろと言う感じ。代打ゴンザレスは、甘くなったシンカーに食らいつき9球粘る。次のハドソンは三球三振に打ち取ったものの、ここが限界だった。ホウプに投じた2球目の速球はシンカーが落ちなかった棒球ではないかと思われた。

2死でブロクストンに交代。完封目前で惜しいと言えば惜しいが、これまでバックの好守備にも助けられていたから「納得」ではないか。
ブロクストンは4セーブ目を挙げたが、球威もコントロールもなかった。黒田など先発投手はこれから苦労させられるかもしれない。
9戦を終えてLADは5勝4敗。先発陣は黒田とカーショウがまともな数字だが、ビリングズリー、リリー、エリーともに打ちこまれている。黒田は「投げればQS(先発登板6回3点以下)確実な男」である。シーズン通してこの調子を維持してほしい。

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