長友佑都が、ヨーロッパの超強豪、インテルに移籍したね。昨シーズンのイタリア三冠王者であり、クラブW杯にも優勝した世界チャンピオンだ。確かにこれはすごい移籍だよ。日本人なら誰もが興奮せずにはいられない。

長友は、今風に言えば「持っている」選手だね。日本代表の監督がイタリア人で、インテルのレオナルド監督と頻繁に情報交換できたことも移籍の追い風になっただろう。さらに、移籍して最初の試合でライバルのサイドバックが4試合もの出場停止処分を受ける。こうして2試合目には早々にデビューできた。

日本のマスコミはワイドショーを中心に大騒ぎだ。お昼の情報番組でインテルの特集が流れるなんて、誰が想像しただろう。しかし、熱しすぎは良くない。日本はいつも、何か際立ったトピックがあると、猛烈な勢いで盛り上がり、そしてあっという間に冷める。オリンピックも、W杯も、アジア杯も、WBCも、佑ちゃんフィーバーも、みんなそうだ。スポーツ報道という観点でいえば、まったく継続性がないよね。

長友は、まだチャレンジャーの立場だ。夏が来るまでに完全移籍を勝ち取らなければならない状況であり、彼の挑戦は温かく見守らなければならないんだ。日本お得意の“スターシステム”に当てはめられてしまうのは、とても危険な気がするね。

かつて、中田英寿はトッティとポジション争いをしていた。ローマのトップ下で試合に出るのは、インテルの左サイドバックよりも難しいだろう。長友も、これからもっと厳しいポジション争いにさらされるかもしれない。そこで、壁を突き破ることができるか。突き破ってこそ、初めて真のスターが誕生したことになる。入っただけではダメ。まだレンタルだという事実を忘れてはいけないよ。

ニュースバリュー的には、アジア杯で優勝し、香川のケガも長友が埋めてくれている。しかし総合的に見たらサッカー界はまだまだ不安定だね。アジア杯の熱がJリーグにつながっているかな? 長友が試合に出られなくなったらどうなる? 一過性の過熱報道に踊らされないようにしないとね。(了)