膨大な数の広告が並ぶクレイグリスト

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   17歳の男子高校生が今、全米のメディアに「引っ張りだこ」となっている。ネットの「物々交換サイト」で、友人からもらった携帯電話を皮切りに交換を繰り返し、最終的に高級車「ポルシェ」を手に入れたというのだ。

   利用したのは、「クレイグリスト」というコミュニティーサイト。求人や不動産から売買、恋人募集まで膨大な数の広告が出されている。どうやってポルシェにまでたどり着いたのか。

毎日5、6時間ネットに張り付き、14回交換

   シルバーのポルシェを乗り回す高校生。カリフォルニア州に住むスティーブン・オーティス君(17)は、この高級車を「無料」で手に入れた。きっかけは15歳のとき、友人からもらった旧型の携帯電話。オーティス君は、この携帯との交換で何か欲しいものを手に入れようと、「クレイグリスト」というサイトに掲載されているオンライン広告を活用する。

   クレイグリストは、もともと米国を中心に新聞広告のような求人、不動産、売買などの情報をネットで提供していた。現在では、米国を含め世界79か国に広がり、月間200億ページビューを誇る「お化けサイト」に成長。サイトのつくりはシンプルで、トップページは国名や都市名が羅列されているだけ。例えば「東京」をクリックすると、東京での求人や不動産の広告を見られる。一部都市の求人や、業者による不動産情報を除いて広告料は無料なので、個人でも気軽に投稿できる。

   オーティス君は、クレイグリストの「売買」項目にある「物々交換」ページを頻繁に閲覧した。毎日5、6時間ネットに張り付き、自分の希望するモノを出している人を探したという。彼の住むロサンゼルスの「物々交換」を見ると、「ゲーム機をノートパソコンに変えて」「ライトバンをバイクに」といった広告がズラリ。写真をつけてアピールする人もいる。7月22日だけでも出品数は数え切れない。一つひとつクリックするのは気の遠くなる作業だ。

   これを根気よく、毎日飽きずに見ていった結果、携帯電話からバイク、アイポッド、ノートパソコン、トラックと14回にわたって交換を重ね、9000ドル相当のポルシェにたどりついた、というわけだ。

全米メディアにモテモテ

   にわかには信じられない話だが、全米3大ネットワークのCBSやNBCはこのニュースを報道。オーティス君はCNNをはじめテレビのインタビューに引っ張り出され、「時の人」状態だ。ウォールストリートジャーナル(電子版)やロサンゼルスタイムズといった大手紙にも取り上げられている。

   インタビューでキャスターが決まって聞くのは「どうやって次々と交換できたのか」という成功術。だが、これという秘策があったわけではなさそうだ。オーティス君の答えは「とにかく我慢。長時間、長期間クレイグリストを見まくっただけ」。たとえ車やパソコンでも、その人にとって「余計なモノ」であれば売りたいということは必ずあったという。交換する相手の素性は分からない。騙される恐れもある。「粘り強く交渉を重ねて、これなら信用できるという人とやり取りしました」とオーティス君は話す。

   ネットを見ると、ツイッターや、ブログサイト「ハフィントンポスト」のコメント欄には「コイツは天才だ」「17歳ですごい」と賞賛する声。一方で、

「本当に賢い子だったら、このことをペラペラ喋らないでしょ」
「2年間で毎日5時間もネットやってたの? バイトすれば(ポルシェの金額より)もっと稼げただろうに」
「ほかの高校生はもっと勉強してるだろ。無駄な時間だ」

といった批判的な書き込みも見られる。オーティス君自身は、物々交換を通してビジネスに興味をもち、「大学に進学したら経営学を専攻したい」と意欲を燃やしている。彼の将来につながる経験となったのなら、決して「無駄な時間」とは言えないだろう。

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