W杯の組み合わせが決まった。誰もが感じたことと思うけど、日本が入ったグループは楽ではないね。ブラジル、クロアチア、オーストラリアと同組になった前回大会よりも厳しいと言ってもいい。

オランダ、カメルーン、デンマークの3チームはどこもフィジカルが強く、体の大きい、日本が苦手とするタイプだ。世界と比べたときに、球際の競り合いは日本の欠点だからね。

ただし、以前もこのコラムの中で述べたが、現在のオランダはこれまでのオランダ代表チームの中で決して強いほうではない。選手個々の粒の大きさを考えてみても、例年になく力が落ちていると感じている。
つまり、オランダ、カメルーン、デンマークの3チームは似通ったレベルにあると思う。となると、ここで星のつぶし合いになる。どこかがグループを一気に飛び出すようなことはないかもしれない。

その中で、一つ確実に言えるのは、どのチームも日本をターゲットにしてくるということだ。彼らは日本をイージーな相手と考え、そこで星勘定をして、他の2チームとの対戦にエネルギーを注ぐだろう。日本がその星勘定を狂わせば、グループは混戦の度合いをより深め、日本にも突破のチャンスが出てくる。3チームの力が拮抗していることは、考えようによっては日本にとって好都合だ。

日本が番狂わせを起こすためには、やはり初戦のカメルーン戦がもっとも重要となる。ホームに近い環境で、最高にモチベーションを高めてくるであろうカメルーンは強敵だが、そこで勝ち点を奪うことができれば、何が起きても不思議はない。

圧倒的に弱者として見られている日本は、その立場を十二分に利用し、失うもののないチャレンジャーとしてプレーすることが必須だ。プレッシャーを忘れて気楽に戦うことは、番狂わせを起こす条件と言ってもいい。

そのためにはまず、「ベスト4」という目標、スローガンを忘れること。仮に初戦で敗れると、そのとてつもなく大きな目標が頭の上にのしかかり、感じなくていいプレッシャーを感じてしまうこともある。ジャイアントキリングを狙うチャレンジャーとして、行き過ぎた目標なんて忘れてプレーしてほしいね。(了)

セルジオ越後 (サッカー解説者) 
18歳でサンパウロの名門クラブ「コリンチャンス」とプロ契約。ブラジル代表候補にも選ばれる。1972年来日。藤和(とうわ)不動産サッカー部(現:湘南ベルマーレ)でゲームメーカーとして貢献。魔術師のようなテクニックと戦術眼で日本のサッカーファンを魅了。1978年より(財)日本サッカー協会公認「さわやかサッカー教室」(現在:アクエリアスサッカークリニック)認定指導員として全国各地青少年のサッカー指導。現在までに1000回以上の教室で延べ60万人以上の 人々にサッカーの魅力を伝えてきた。辛辣で辛口な内容のユニークな話しぶり にファンも多く、各地の講演活動も好評。現在は日光アイスバックス シニアディレクターとしても精力的に活動中

●主な活動 テレビ朝日:サッカー日本代表戦解説出演「やべっちF.C.」「Get Sports」  日本テレビ:「ズームイン!!SUPER」出演中 日刊スポーツ:「ちゃんとサッカーしなさい」連載中 週刊サッカーダイジェスト:「天国と地獄」毎週火曜日発売 連 載中 週刊プレイボーイ:「一蹴両断!」連載中 モバイルサイト FOOTBALL@NIPPON:「越後録」連載中