ドラマ『アイシテル〜海容〜』に出演した板谷由夏。放送を見た妹から「私、子供を生んで良かった」という感想を聞き、「その出来事が嬉しかった」と話す場面もあった。<br>(会場:東京・千代田区、撮影:野原誠治)
 海外展開を視野に、日本の優れたドラマ作品を選ぶ「東京ドラマアウォード」で、グランプリを受賞した「アイシテル〜海容〜」(2009年4月期、日本テレビ系)。同作の出演者である女優の板谷由夏、俳優の佐野史郎、プロデューサーの次屋尚氏が20日、都内で行われた「国際ドラマフェスティバル in TOKYO」のシンポジウムに出席し、作品について振り返った。

 同作は、少年が少年を殺害してしまう事件を描いた重い内容のドラマ。番組の企画時には、「犯罪性をもてあそんでいる」「4月期、すがすがしい春にはふさわしくない」と内外から厳しい批判も聞かれたという。それでも、次屋氏は「それぞれの家族『うちの子供にも起こるかもしれない』と感じてもらうことが最初の入り口。ドラマは、母親の目線で作った」と説明した。放送の回を追うごとに注目が集まり、最終回は18.6%と、高視聴率を記録。今月上旬、仏カンヌで開かれたコンテンツ見本市「MIPCOM」でも高い評価を受け、「バイヤー・アワード」を受賞していた。

 少年同士の殺人事件を扱ったドラマ。そのキャスティングにあたり、「被害者側の母親役を演じて欲しい」と依頼された板谷。私生活でも子供を持つだけあって、「私、出来るでしょうか?」と不安な気持ちで答えたとか。また、その時の気持ちに触れ、「役者としては、どうしてもやりたい役。でも、母の気持ちになると難しい役。正直、演じることが怖かった」と複雑な心境を思い返していた。

 女性客が多く集まったシンポジウム。別の時間には、「東京ドラマアウォード」の優秀賞の一つに選ばれたTBS系のドラマ「ROOKIES」から、俳優の小出恵介、桐谷健太、プロデューサーの石丸彰彦氏も壇上に上がった。ドラマの舞台裏となるエピソードを披露すると、拍手と大きな笑いに包まれる場面も見られた。

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