すでにユーロ2008本大会出場を決めているフランスが21日、予選最終戦でウクライナと対戦、5日前のモロッコ戦(親善試合)と同スコアの2―2で引き分けた。

 この試合、ゴールキーパーのセバスチャン・フレイ(フィオレンティーナ)が代表戦初出場を果たした。フレイはこれまで何度となくメンバーに招集されながら、つねに控えに甘んじてきた。正 GK のクペ(リヨン)が負傷したが、これまでドメネク監督はランドロー(パリ・サンジェルマン)を起用しており、フレイは第3キーパーの扱いだった。

 予選突破がすでに決まったこの一戦はいわば“消化試合”で、フレイを実戦で試す絶好のチャンス。ただし、ドメネク監督は試合前日、「たしかにいろいろなオプションはある。しかしゴールキーパーというポストに関しては、つねに慎重を期している。私に言わせれば、キーパーには“格”というものがある。状況に応じてさまざまな可能性を試すことは必要だが、選手にスタメンをプレゼントするわけにはいかない」と語っていた。

 先日のモロッコ戦では、ランドローのクリアミスがもとで失点したが、ドメネク監督は「すべての選手に責任がある」とランドローをかばっていた。前日の記者会見での発言には、ランドローを次の試合のスタメンから外せば、責任を負わせることになってしまうという配慮が働いたようだ。

 しかし結局、当日になって起用されたのはフレイ。その初の代表戦はいきなり前半14分に先制ゴールを浴びる苦いスタートとなった。しかしこのゴールはどちらかといえば、ディフェンスのマークミス。フレイにとってほんとうの悪夢はその後に待っていた。フランスがアンリ、ゴブーのゴールで逆転したあとの前半ロスタイム、シェフチェンコが頭で合わせた何ということのない浮き球を弾いてウクライナに同点ゴールを献上してしまう。
 
 フレイは試合後、レキップ紙に「照明が目に入ってボールが見えなかった。完全に球筋を見失った。しかし言い訳をするつもりはない。責任を認める。こんなことがあったのは初めてだ。この試合は、代表で実力を示すチャンスだった。このプレーで自分の立場は微妙になった。自分が代表のメンバーにふさわしいことを証明できるよう新たに励まなければならない」と語った。すっかり落胆した様子だったという。

 なおドメネク監督は試合後、「フレイに何か話しましたか?」と報道陣に聞かれ、「また次がある、と言ったよ」と答えている。