選挙当日の党本部に小沢代表はいなかった(29日民主党開票センター)

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   民主党が「大勝」した選挙開票当日、党本部に小沢一郎代表は姿を現さなかった。選挙特番でもキャスターから怒りや疑問が上がっており、次の日も姿を現さなかったことや理由が不透明なことから「ここまで病気がちだと総理大臣にはなれないのでは」「身勝手すぎる」といった声まで上がっている。

病気なのか、過労なのか、はっきりしない

   民主党の小沢一郎代表は2007年7月29日の参院選当日、体調不良を理由に党本部に姿を見せなかった。小沢代表に代わって記者会見に臨んだ菅直人代表代行は「風邪気味で医者に静養するようにと言われた。1〜2日だと思っている」などと説明した。しかし、大勝を受けて小沢代表の「ナマ」のコメントを中継するはずの選挙特番から不満の声が上がった。

   テレビ朝日では田原総一郎氏が「公党の党首が、いま勝ったわけでしょう。やっぱり出るなら、出なきゃ!」「民主党の幹部たちに言いたい!小沢さん出ろ、と」などと痛烈に批判。日テレでは、菅直人代表代行が代わりに出演したことについて、村尾信尚キャスターが「小沢代表にお願いしたのに」と苦言を呈した。

   小沢代表は06年9月25日の臨時党大会の場面で体調を崩して入院し、衆院本会議の代表質問を欠席したことがある。07年1月16日の共同通信によれば、1月15日の党大会では、小沢代表が嵐の中を進む帆船のかじを取り、顔をしかめる参院選向けのテレビCMに対して批判も出たという。「小沢さんの入院騒ぎを思い出す人がいる。リアルすぎる」というものだった。いってみれば、今回の「雲隠れ」で、皮肉なことにあの「入院騒ぎ」を想起させる結果になった。
   小沢代表は07年7月31日にようやく民主党本部に姿を見せ、役員会、常任幹事会などに出席したが、体調については「大丈夫」と記者団に対して語っている。

   民主党役員室はJ-CASTニュースの「病状は何だったのか」との問いに対し、「病気じゃありませんよ。過労です」と答え、「今後は通常通り活動するのか」との問いには「今日出てきましたから、そういうことではないかと思う」と答えている。小沢代表の今後について確信のない答えをしたのに加え、当初の「風邪」という菅代表代行の説明とは異なる。さらに、政権交代を狙う公党の代表が「過労」を理由にして姿を見せない、というのが許されるのかという問題にもなりかねない。
   ちなみに、06年9月の小沢代表の入院時にも、鳩山氏から「風邪気味」との説明があったが、のちに「持病の狭心症の兆候」だったことが分かった。こうした「不透明」な説明も相変わらず、なのである。

「病状もこの時期に情報公開すべきでしょう」

   07年7月31日に放送されたテレビ朝日「スーパーモーニング」で、同番組に出演した民主党・河村たかし議員に対し、コメンテーターの作家・若一光司氏は、

「(小沢代表が姿を見せないことは)これはちょっと不自然すぎますし、投票した選挙民にたいして失礼ですよね」「健康状態に問題があるというのなら、いままで(民主党が)言ってきた情報公開ということで(病状を)この時期に出すべきでしょう」

と痛烈に批判した。河村議員は「いろいろ体も・・・あるんじゃないですか」「一番本人も出たいんじゃないんの?」と歯切れの悪い答えに終始した。さらに、テレ朝の三反園訓氏も「ここまで病気がちだと総理大臣というかたちにはなれないんじゃないですかね」と小沢氏の「雲隠れ」を批判した。

   ちなみに、これより前に同番組で赤江珠緒アナウンサーが「小沢代表は今日開かれる役員会に出席する予定」と説明すると、河村議員は「そうですかー、はぁ」と答えており、小沢代表が31日に党本部に選挙後はじめて姿を見せることを知らなかった様子だ。
   07年7月31日付朝日新聞(朝刊)のなかで、星浩編集委員が自民党の批評をしたうえで、次のように小沢氏も批判している。

「一方、大躍進を果たした民主党はどうか。小沢代表は、体調不良を理由に投票日の記者会見などを中止した。参院選の総括について、公に何の説明もしていない。次の衆院解散・総選挙で政権交代をめざし、首相に就こうとするリーダーにしては、身勝手すぎないか」