【サムライ通信】欧州組参加の効用
中田浩二、稲本潤一、楢崎正剛と今合宿では1年ぶりに代表復帰を遂げた選手が多い。以前“古井戸”と言われたジーコ代表で経験を積んだ選手の数が増えたチームのムードはどのようなものなんだろうか?
「合流当初はさすがに若い選手もべテランに対して緊張したり、遠慮したりっていうこともあったかもしれないけれど、今は全くそういうことはないよ。食事のときのテーブルも年齢別に分かれるのかなぁって思っていたけれど、自然といろんな選手がひとつのテーブルに座っている。ジーコの代表のときは、食事が終わるとみんなすぐに自分の部屋に戻っていったけど、今は残って雑談することも増えた。若い本田や家長がナラさん(楢崎正剛)に突っ込んでみたりして。チームのムードは前の代表よりもよくなっている。選手間でサッカーの話をする機会も増えたし、いいコミュニケーションが生まれていると思う」と遠藤保仁が語る。
また遠藤はベテラン選手が入ったことでサッカーにも変化が生まれるのではないかとも話す。「走ること、速く攻めること、ボールを動かすことに意識が行き過ぎて、単調になってしまったり、息切れするような場面も過去にはあった。でも俊(中村俊輔)やイナとか、ボールが収まる選手が多いし、ゲームに変化をつけられるんじゃないかな」
鈴木啓太は、今回の合宿について、「欧州組の選手が長く参加した今回の合宿は、自分自身の中でも意味のある合宿。欧州組の選手は自分のプレーをチームメイトに伝えるのが上手。自分の形にもっていく力がある。1対1は強いし、ボールをとられないし、取りに行く姿勢もある。ピッチの上はもちろん、上の世代の選手ともいろんな話をしているし、刺激になることは多い」と話している。
コロンビア戦を前にした6月4日の練習では、負傷離脱した坪井慶介に代わり、阿部がセンターバックに入り中澤とコンビを組んだ。右サイドには駒野、左サイドに中田を配した。また、高原を1トップに据えて、遠藤、中村(俊)、中村(憲)、稲本、鈴木という布陣も確認している。
高原が中村(憲)と話しはじめると、そこに中村(俊)や遠藤、稲本が集まり、細かい要求を出し合い、修正が行われているようだった。そんな風に本合宿中は、グラウンドで選手個々が話し合う場面も今までになく多く見られた。それも、欧州組のコミュニケーション能力の高さが、チームの空気を動かした結果だと思う。
オシムジャパン初の公式大会。欧州組も数多く参加し、アジアカップへ向けた試金石と言われるキリンカップ。試合の結果以上に有意義な時間を日本代表は過ごしている。
前日練習の最後に選手を集めて「コロンビアは力のあるチーム。簡単にボールを失うとカウンター攻撃を食らうだろう。勝利を狙うことには変わりはないが、もし負けたとしても意味のある試合にしよう」というようなことをオシム監督は話したそうだ。コロンビアは過去、オシムジャパンが対戦したチームにはない強敵だと言われている。
「コロンビアは今まで戦った相手とは違う。そういう強いチームとやれる機会はあまりない。相手の特徴を消して、自分たちの良いところを出して、いかに自分たちのプレーができるかが大事。FWは点を取らないと評価されない。点を取って初めてひとりの選手として見てもらえつ。それでやっと嫌な思いをせずに試合に集中できる。チームメイトに信頼されないとパスももらえない。そういうことをドイツで経験してきた」と、この日28歳の誕生日を迎えた高原は、ストライカーとしての矜持をのぞかせた。
明日先発が期待される稲本潤一は、「どういうメンバーかわからないけれど、90分集中してやりたい。人とボールが動くサッカーだし、自分が周りの選手を活かすプレーをしたい。2対1の場面を作るとか、サイドチェンジをするというのはプレーしていても楽しい。個人的には新しい代表でいいスタートを切りたい」と話した。
「もし、明日(中村)俊輔、タカ(高原)、(中田)浩二、イナ(稲本)が揃って出れば、いわゆるベストメンバーという布陣で戦えるのかもしれないし、一緒にプレーすることは純粋に楽しみ」
同年代の旧友とプレーができることに対して、遠藤保仁も笑顔をもらした。チーム発足後もなかなか、招集されなかった欧州組。彼らとて、意地とプライドを示したいはずだ。自分を証明したいと戦う彼らの姿に期待したい。
●text by Noriko TERANO
【試合速報】日本 vs コロンビア代表 - キリンカップサッカー2007
<サムライ通信>
・中村俊輔、あらたなる試練
・欧州組融合の第一歩
・水野晃樹「指揮官が認める未来を担う才能」
・中田浩二「やっとという気持ちといよいよという気持ちがある」
・高原直泰「リーダーとしての覚悟」
・楢崎正剛「代表は自分には縁がないと思っていた」
「合流当初はさすがに若い選手もべテランに対して緊張したり、遠慮したりっていうこともあったかもしれないけれど、今は全くそういうことはないよ。食事のときのテーブルも年齢別に分かれるのかなぁって思っていたけれど、自然といろんな選手がひとつのテーブルに座っている。ジーコの代表のときは、食事が終わるとみんなすぐに自分の部屋に戻っていったけど、今は残って雑談することも増えた。若い本田や家長がナラさん(楢崎正剛)に突っ込んでみたりして。チームのムードは前の代表よりもよくなっている。選手間でサッカーの話をする機会も増えたし、いいコミュニケーションが生まれていると思う」と遠藤保仁が語る。
鈴木啓太は、今回の合宿について、「欧州組の選手が長く参加した今回の合宿は、自分自身の中でも意味のある合宿。欧州組の選手は自分のプレーをチームメイトに伝えるのが上手。自分の形にもっていく力がある。1対1は強いし、ボールをとられないし、取りに行く姿勢もある。ピッチの上はもちろん、上の世代の選手ともいろんな話をしているし、刺激になることは多い」と話している。
コロンビア戦を前にした6月4日の練習では、負傷離脱した坪井慶介に代わり、阿部がセンターバックに入り中澤とコンビを組んだ。右サイドには駒野、左サイドに中田を配した。また、高原を1トップに据えて、遠藤、中村(俊)、中村(憲)、稲本、鈴木という布陣も確認している。
高原が中村(憲)と話しはじめると、そこに中村(俊)や遠藤、稲本が集まり、細かい要求を出し合い、修正が行われているようだった。そんな風に本合宿中は、グラウンドで選手個々が話し合う場面も今までになく多く見られた。それも、欧州組のコミュニケーション能力の高さが、チームの空気を動かした結果だと思う。
オシムジャパン初の公式大会。欧州組も数多く参加し、アジアカップへ向けた試金石と言われるキリンカップ。試合の結果以上に有意義な時間を日本代表は過ごしている。
前日練習の最後に選手を集めて「コロンビアは力のあるチーム。簡単にボールを失うとカウンター攻撃を食らうだろう。勝利を狙うことには変わりはないが、もし負けたとしても意味のある試合にしよう」というようなことをオシム監督は話したそうだ。コロンビアは過去、オシムジャパンが対戦したチームにはない強敵だと言われている。
「コロンビアは今まで戦った相手とは違う。そういう強いチームとやれる機会はあまりない。相手の特徴を消して、自分たちの良いところを出して、いかに自分たちのプレーができるかが大事。FWは点を取らないと評価されない。点を取って初めてひとりの選手として見てもらえつ。それでやっと嫌な思いをせずに試合に集中できる。チームメイトに信頼されないとパスももらえない。そういうことをドイツで経験してきた」と、この日28歳の誕生日を迎えた高原は、ストライカーとしての矜持をのぞかせた。
明日先発が期待される稲本潤一は、「どういうメンバーかわからないけれど、90分集中してやりたい。人とボールが動くサッカーだし、自分が周りの選手を活かすプレーをしたい。2対1の場面を作るとか、サイドチェンジをするというのはプレーしていても楽しい。個人的には新しい代表でいいスタートを切りたい」と話した。
「もし、明日(中村)俊輔、タカ(高原)、(中田)浩二、イナ(稲本)が揃って出れば、いわゆるベストメンバーという布陣で戦えるのかもしれないし、一緒にプレーすることは純粋に楽しみ」
同年代の旧友とプレーができることに対して、遠藤保仁も笑顔をもらした。チーム発足後もなかなか、招集されなかった欧州組。彼らとて、意地とプライドを示したいはずだ。自分を証明したいと戦う彼らの姿に期待したい。
●text by Noriko TERANO
【試合速報】日本 vs コロンビア代表 - キリンカップサッカー2007
<サムライ通信>
・中村俊輔、あらたなる試練
・欧州組融合の第一歩
・水野晃樹「指揮官が認める未来を担う才能」
・中田浩二「やっとという気持ちといよいよという気持ちがある」
・高原直泰「リーダーとしての覚悟」
・楢崎正剛「代表は自分には縁がないと思っていた」