オシム監督も認める水野の才能<br>【photo by B.O.S.】

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 2得点をあげた日本の前半の戦い方は、ボールが周り何度もいい形を作りかけた。「サイドからいい形が何度か生まれたけれど、ラストパスの精度の問題などで上手くいかない場面もあった」と話したのは高原直泰だった。

 それでも高原は、前線で的確かつ豊富な動きで、パスコースを作ったり、味方が飛び出すスペースを生み出し、自陣に引いた相手DFを混乱させる仕事を繰り返していた。高原が放ったシュートはゴールとなった1本だけだったが、それ以外でも攻撃のリズムを作る仕事をしていた。

 後半24分、高原に代わりピッチに登場した水野晃樹は意気揚々とピッチに走り出した。前半から駒野が何度もチャンスを作った右アウトサイドに立つ。

「今日はいつもやっている右サイドのポジションだったし、駒野さんがいいチャンスを作っていたから、自分もという気持ちもあった」

 ジェフ千葉に所属する現在22歳の水野は、静岡県出身らしい高いテクニックを持った右アウトサイドの選手だ。後半に入り、徐々にモンテネグロの攻撃時間が増えた苦しい時間帯での水野の投入は、その悪い流れを断ち切るプレーを期待してのことだろう。

 オシム監督もは千葉時代からの教え子について以下のように語っている。あまり選手を褒めることのない指揮官の言葉からは、期待の大きさが伺える。「彼は日本代表のメンバーとしてはまだ子供だと思います。しかし、才能もアイディアも溢れるほどです。その才能をチームのために使わないのは勿体無い。それくらい彼には才能がある」

 実際、五輪代表では中心選手として大きな存在感を示してはいる。しかし、この試合、水野はボールを触る回数も少なく、仕事らしい仕事ができずに終っている。