ベテラン女優ジュディ・デンチ主演の新作映画「Notes on a Scandal」のポスター

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  新作映画「Notes on a Scandal」はスキャンダラスで論争的な作品だ。女性2人を主人公にしたサスペンス劇で、隠された人間の心の闇や人間関係の暗部をえぐり出す。ベテラン女優ジュディ・デンチの冴えた演技が光る。

  デンチが演ずるバーバラ・コベットはどこにでもいそうな年老いた小学校教師。皮肉っぽくて、教育に対する熱意を失ってからもう長い年月が過ぎている。そんな彼女に職場で突然、“幸運”が訪れようとする。ケイト・ブランシェットが演じるシバ・ハートという魅力に満ちた年下の女性教師が新しく学校にやってきたのだ。ひねくれ者のバーバラでさえ、惹きつけられるほどだ。やがて、バーバラは、学校とシバと1人の生徒の運命さえも破壊してしまうほどの秘密を偶然に知る。同性愛者であるバーバラはシバと特殊な友情を築くため、この秘密を利用しようとするのだが・・・。

  デンチは1998年に「恋に落ちたシェークスピア」で、アカデミー賞助演女優賞を獲得した後も同賞で4回もノミネートされているが、Notes on a Scandalでの演技は過去のどの出演作品よりも優れている。バーバラはまさにデンチのために作られた役柄と言えよう。2人の教師、バーバラとシバの関係は、格好の獲物を目の前にした猫と必死で逃げ惑うねずみの激しい攻防を思わせる。デンチの演技は抑制され静かだが、表情と視線で老教師バーバラの計算高く邪悪な心を強烈に描く。ブランシェットも、バーバラの意図に気付かないふりをして、必死に窮地を脱しようとするシバを堂々と演じ、名優デンチに一歩も引けをとらない。脇をかためるビル・ナイとアンドリュー・シンプソンの男優も好演している。特に若手のシンプソンは、物語の鍵となる秘密にからむ生徒役を完ぺきに演じきった。同年代の俳優の中では出色の演技力だろう。

  監督のリチャード・エアは、俳優の力を最大限に引き出す演出で有名だ。特に女優の使い方がうまい。「アイリス」は2001年アカデミー賞で3賞にノミネートされ、ジム・ブロードベントが助演男優賞に輝いている。受賞は逸したが、同作品で候補になっていたのは、デンチ(主演女優賞)とケイト・ウィンスレット(助演女優賞)だった。エア監督は新作Notes on a Scandalで、デンチの才能を最大限に発揮させることに再び成功している。もう1つ、監督は小説を映画化する手腕にも優れている点を付け加えておこう。【了】

■オリジナル記事: Review: Notes on a Scandal
■ブログ: フィルム・スクール・リジェクツ(Film School Rejects)(2007年1月4日付)より
■筆者:ブライアン・ギブソン(Brian Gibson)氏
  「フィルム・スクール・リジェクツ」は映画評や新作情報などを提供するブログ。

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