6日、味の素本社でセミナー「アジアの児童買春〜旅行業界が取り組んだCSR」が開かれた(撮影:佐谷恭)

写真拡大

社会的責任として旅行会社が取り組む子ども買春予防についてのセミナー「アジアの児童買春〜旅行業界が取り組んだCSR」(アムネスティ・インターナショナル日本主催)が6日、東京都中央区の味の素本社で開かれた。

 同セミナーでは、ストップ子ども買春の会(ECPAT)共同代表の宮本潤子さんが、児童買春の概要を説明。加害者数と被害者数ともに正確な数は不明だが、国連への報告で100万人が被害を受けているという推定値があることや、日本人が買春に多く関わっていると国際的に認知されていることなどを紹介した。また、特殊な性的嗜好がある人よりも、一般的な観光客が児童買春のほとんどの原因になっていると指摘し、「自国の制約や責任感から解放され、状況的虐待者になる。また、家族のために“働いて”いる子どもを“買ってやった”と、行為を合理化する心理も見られる」と話した。

 ジェイティービー(JTB)の広報室マネージャーの三ツ橋明子さんは、世界観光機関(WTO)などが推進する“旅行と観光における性的搾取からの子ども保護に関する行動規範”を推進・実現していくためのプロジェクトへの参加を同社が決定した経緯と、同業他社とともに行動規範を結ぶ意義について発表。同社は、4月から発行する旅行パンフレットに「すべての児童への性的搾取に反対する」旨を明記するほか、新入社員教育でも児童買春防止を強調するという。

 世界観光機関(WTO)や国連児童基金(ユニセフ)などが世界で推進する“旅行と観光における性的搾取からの子ども保護に関する行動規範”の企業への導入を推進している、日本ユニセフ協会広報室長の中井裕真さんは「行動規範を導入することで、児童買春のあっせんを以前行っていたと思われるのではないかという不安から、旅行会社は当初引き気味だったが、プロジェクトは順調に進み、約80社が参加するまでになった。国内の旅行会社で、買春ツアーを直接企画することはまずあり得ないが、現地オペレーターとの契約に、子どもの性的搾取を拒否する旨を記した条項を導入する影響は大きい」と語った。【了】

■関連記事
「日本は人身売買の最大の受入国」