ダルビッシュ有選手のツイッターより

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メジャーリーグで「シカゴ・カブス」所属のダルビッシュ有選手(32)がツイッターで、ジャーナリストの安田純平氏を巡る「自己責任論」に対して、3日間にわたり反論し続けた。

事の発端は2018年10月25日の、「自己責任なんて身の回りに溢れているわけで、あなたが文句をいう時もそれは無力さからくる自己責任でしょう。皆、無力さと常に対峙しながら生きるわけで。人類助け合って生きればいいと思います」(25日22時27分)という投稿まで遡る。

「世界のどの国もが知らんぷりだったらどうするんだろう?」

ダルビッシュ選手の最初の投稿は25日22時27分ごろ。その後もユーザーからのリプライ(返信)に対してできる限り返信しているようで、自身の投稿のリツイートも含めると、その数は140〜150回に渡る。以下は1度目の投稿におけるユーザーの反応に対するダルビッシュ選手のリプライだ。

「"渡航禁止の国に行っているんだから自己責任だ"という人が多いんです。それって戦場を取材するジャーナリストの存在を否定しているので言ってるまでです」(25日22時7分)
「調べてから言ってるんですよ。全部ひっくるめて一人の人が死ななかったことに安堵するというのは当たり前の話だと思いますが」(25日22時53分)
「もっと掘り下げるとそういう人によって善良な市民が多数助かっているってことですよ。表面的で誰にでもわかるような情報だけで判断しない方がいいと思いますよ」(26日1時26分)

ダルビッシュ選手は2018年に「シカゴ・カブス」と6年契約を交わし、シカゴ近郊にマンションを購入したと各メディアで報じられている。現在も、日本とおよそ14時間の時差があるシカゴにいるとするなら、最初の投稿は現地時間で25日8時半ごろという計算になる。

ダルビッシュ選手は1回目の投稿に対するリプライから間をあけず、26日1時34分(日本時間)に2度目の投稿をしている。

「ルワンダのジェノサイドなんかも50万から100万人が亡くなってる。約100日と短期間すぎたのもあったけど、もっと他国が介入出来ていたら絶対こうなっていないはず。世界の国々もジャーナリストもこういった歴史から人間の弱さ、怖さを学んできたはずなんですよ」(26日1時34分)

それからは少しペースを落とし、約4時間半かけて、ダルビッシュ選手は5件のリプライを返した。そして26日6時5分、ダルビッシュ選手はあるユーザーがツイートした「なぜジャーナリストは危険な場所に行くのか」と問う、4コマ漫画「地球防衛家のヒトビト」(朝日新聞連載)の画像に対して、

「本当にこれですよ。日本が戦争していてたくさんの人が殺されているなかで世界のどの国もが知らんぷりだったらどうするんだろう?って妻と話してました」(26日6時5分)

と3度目の投稿。2時間後の4度目の投稿までに、15件のリプライをしている。この時点でダルビッシュ選手は、ユーザーからの反応1つ1つにリプライするというよりも、これまでの自身のリプライを引用ツイートして反論する形が多くなっている。

「何の説得力があるかわかってますか?笑」

26日8時8分、ダルビッシュ選手は続けて4度目のツイートを投稿した。

「危険な地域に行って拘束されたのなら自業自得だ!と言っている人たちにはルワンダで起きたことを勉強してみてください。誰も来ないとどうなるかということがよくわかります。映画だと『ルワンダの涙』が理解しやすいと思います。ただかなり過激な描写もあるので気をつけてください」(26日8時8分)

こちらにおいても、ユーザーからのリプライに対して、27日3時27分ごろまでに5件ほど返信している。丁寧な言葉遣いは崩さないが、ダルビッシュ選手は「何回も言いますが」という言葉を多用、「何の説得力があるかわかってますか?笑」といった、挑発的と捉えられてもおかしくない表現も見られる。さらに26日11時17分には、サッカーの本田圭佑選手の「ダルビッシュさん夫婦がいればもっとガツガツいけそうです」といった投稿をリツイートするなど、暗に持論を主張している。

「何回も言いますが、ジャーナリストが現地に行かないとどうなるか歴史を振り返って勉強してください。3億の税金がー、とかそれによって命がーとかなんかより遥かに人を救っているのが事実」(27日0時15分)
「安全圏にいますがあなたと違って世界の実情をしろうという気持ちがありますし、その情報を命をかけて届けてくれる人たちに感謝しているだけですよ。こんな時間に匿名(さらに安全圏)で文句ばかり言ってる人の言葉に何の説得力があるかわかってますか?笑」(27日3時27分)

「しょーもないレスバは辞めて」→「シーズン中でも暇な時間は...」

その後もダルビッシュ選手はリプライを続け、「自己責任論」を巡るツイートは29日10時57分のリプライ「だからほとんどの国で許可なんか出してないでしょう。あとこのザマって現地に行ったこともないような人がどうやって批判なんてできるんでしょうか」が、現時点で最後のものとなっている。

ダルビッシュ選手は27日10時半〜22時(シカゴ時間:26日20時半〜27日8時)、28日3時半〜23時(同27日13時半〜28日9時)、29日3時〜8時(同28日13時〜18時)の間はほとんど投稿をしていなかったが、それ以外の時間帯はほぼ絶え間なく投稿していた。シカゴにいるとするなら、昼と真夜中を除き、午前中と夜をツイートの時間に当てている計算になる。

あまりの投稿頻度の高さにユーザーからは「しょーもないレスバ(※編注:レスバトルの略。掲示板やツイッター上での討論を指すネット用語だが、「不毛」との含意が強い)は辞めてその時間練習してください」とのツッコミも。ダルビッシュ選手が、

「シーズン中でも暇な時間はたくさんありますよ笑」
「誰が24時間練習するんですか笑誰でも仕事以外の時間は何しようが自由ですよね。だいたい反省というのは自分で反省をし、次につながる努力をすればいいだけの話で」

と返す一幕も見られた。