CubeSatからの火星の撮像(c)NASA/JPL-Caltech

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 米航空宇宙局(NASA)は23日、小型人工衛星CubeSat(キューブサット)から火星の撮影に初めて成功したと発表した。

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■バックパックが入る大きさの小型人工衛星

 キューブサットは1999年に、カリフォルニア州立工科大学とスタンフォード大学の研究者によって開発された小型人工衛星だ。従来の人工衛星よりも小さく安価で製造可能なのが特徴。9月23日に種子島宇宙センターから打ち上げられた宇宙ステーション補給機こうのとり7号機にも、3基のキューブサットが搭載された。民間宇宙ベンチャーのリーマンサットスペーシズや九州工業大学、静岡大学といった研究機関などが開発したことからも、キューブサットへの参入は比較的容易なことがわかる。

 NASAは現在、2基のキューブサットを火星に向けて飛行させている。2018年5月に、NASAが開発した火星探査機InSight(インサイト)と同時に打ち上げられたこのキューブサットは、インサイトの後方数千キロを追尾しながら、すでに火星と地球との中間地点を過ぎた。サイズは、約36.6センチメートル×24.3センチメートル×11.8センチメートルだ。

■キューブサットで火星からのデータ送信が円滑に

 キューブサットを活用した火星探査のプロジェクトは、MarCO(Mars Cube One、マルコ)と名付けられている。NASAのジェット推進研究所によって遂行されるマルコの目的は、火星に到達したインサイトからのデータを中継し、地球に届けられるかの検証である。

 このミッション遂行のために、約4億85000万キロ離れた地球と交信するための高利得アンテナをキューブサット用に小型化。搭載されたカメラは、8月には地球と月の撮影にも初めて成功している。

 マルコのキューブサットは、「イブ」と名付けられたMarCO-Aと「ウォーリー」と名付けられたMarCO-Bの2基からなる。10月3日に、そのうちのひとつ、MarCO-Bに搭載された広角カメラから火星の撮影に成功した。この時の火星までの距離は約1280万キロメートルだった。

 今後、インサイトが火星に到達する11月26日まで火星の撮影を継続、さらに8500万キロメートルを旅しながら、データの中継が成功するか検証が続けられる予定だ。