夢展望は1998年5月に、玩具や雑貨販売のネット通販企業として産声を上げた。そして間もなく「衣料品」「靴」分野にも進出。スマホの成長性に一早く着目したのが、紆余曲折を経ながらも「その存在は着実に浸透させることができた」(アナリスト)要因。2015年3月末段階で会員数が160万人を数えるに至っている点など、その証左といえる。

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 「かわいくなりたい、かっこよくなりたいお客様の夢と幸せを創造する これが夢展望のマインド」と、自社の存在を訴求している。ECモールへの出店と自社サイトでの販売の2本立てだが、実際にどんな商品が取り扱われているのか。4つのカテゴリーからなっている。「トレンド系」「スウィート系」「上品ガーリー系」、そして「セクシー系」。ホームページに掲載された10代から20代の若い女性の着衣姿を見ると、還暦をとうに過ぎた筆者でも街ですれ違ったら「まず振り返るだろうな」が正直な実感。

 会員向けに「日替わりタイムセール」を行うなど、集客・販売方法にも諸々工夫が施されている。

 2013年7月に株式を公開。果実を堪能できる時期を迎えたはずだった。が、一転、同業他社の攻勢の前に赤字決算に追い込まれていったのである。前々期まで営業損失が続いた。17年3月期以降「黒字転換」の様相となった。

 だがこれは経営者の判断としか言いようがないが、昨年早々の時点で激やせジムで知られるライザップグループが同社株を取得し78・5%の筆頭大株主となった。先のアナリストは、その理由を「ライザップは衣料小売業への進出を視野に入れている。現に数社を傘下に収めている。ライザップはネット通販での本格進出を目指している。衣料小売業界に詳しいアナリストは『ユニクロには前門の狼、後門の虎がいる』と評するが、虎こそライザップ。ライザップは夢展望の大株主化でノウハウを取得する」とし、「同時に夢展望の収益押上げに寄与する手だてを図ってくるはずだ」とした。ちなみに今3月期は「18.2%増収、2.8%営業増益」計画で立ち上がった。