それでも、能力や練度の維持のため、災害派遣で消耗している自衛官には休息をとる間もなく訓練に挑むしかない場合もあります。心身共に疲れ切った体に鞭打っての訓練は練度向上どころか体に負担をかけ、事故に繋がる結果にもなりかねません。

東日本大震災の翌年、自衛隊も7.8%給与カットに

 自衛隊が脚光を浴びるのは災害派遣の時だと考える人は多いと思います。でも、自衛隊員は災害派遣にトラウマがあるかもしれません。あの未曽有の東日本大震災の翌年、当時の民主党政権は自衛隊を含む国家公務員に2年間の給料7.8%カットを言い渡しました(2012年、13年度)。復興のための財源を捻出するための特例処置だったそうですが、自衛隊員は災害派遣で頑張っても賞詞と僅かな災害派遣の手当のみです。

 被災者を不眠不休で救助し復興を助けたある隊員は、その年からローンの支払いに困り、子供たちの塾を控え、奥さんもパートを増やすことになったそうです。国民はそのことを知らずに自衛隊に頼りきり、行政は安上がりな労働力と言わんばかりに利用しているようにも見えます。
 これまで自衛官の報われない犠牲的労働について顧みられることはほとんどありませんでした。警察や消防、海保もそうですがこの灼熱の中救助、復興活動に従事している人たちが報われる世の中であってほしいものです。

 西日本豪雨災害で我が国は多大なダメージを受けました。私たちは災害のたびに自衛隊に助けられています。彼らは鍛え抜いた心身を持ち、忍耐と服従を是としています。でも、いつまでも彼らの崇高な使命感と自己犠牲に甘えていていいのでしょうか。頑張った人が頑張ってよかったと感じるような報酬・褒章を言葉だけではなく、具体的な形で考えていくべきではないでしょうか?

「消費税はイヤだけど、自衛隊のためのふるさと納税があればやる!」という人もいます。そんなところにヒントがあるかもしれません。南海トラフ地震が起こる可能性も高まっています。「人を救う仕事を希望してよかった。キビシイけど報われるんだよ。」と言える自衛隊に変えていきたいものです。<文/小笠原理恵>

【小笠原理恵】
国防ジャーナリスト。「自衛官守る会」顧問。関西外語大学卒業後、報道機関などでライターとして活動。キラキラ星のブログ(【月夜のぴよこ】)を主宰