通勤時間を直撃した大阪北部地震は大都市で暮らす人々に多くの影響をもたらした。大阪万博があった1970年に建てられた阪急南茨木駅(茨木市)は壁が破損、階段が歪むなどの被害を受けた。改札への入り口の一つも使用不能になり、電車に乗るために踏切を越えた反対側の入口を使わなければならない状態になった。同駅だけでなく、地震発生後の関西地方では、いたるところで通勤・通学客で人が溢れてしまった。

 19日放送のAbemaTV『 AbemaPrime 』に出演した防災・危機管理ジャーナリストの渡辺実氏は「震度6弱、M6.1レベルの地震が来れば、やはり鉄道事業者は一度止めて安全確認をしなければならないし、最善を尽くしたとしても時間はかかってしまう。日本は地震大国なのだから、今回の地震の教訓を活かして、そろそろ"災害モード"という社会のシステムをつくるべきだ」と警鐘を鳴らす。

 「なぜ必死になって出勤しようとするのか。電車がしばらく動ないことが分かっていても、再開まで駅にいるぞという心理は"エマージェンシーモード"ではない。そのことによって、駅にはものすごい負荷がかかっている。駅員や鉄道事業者の負担を一旦軽減させ、エネルギーを復旧のために使ってもらったほうが経済合理性もある。政府が働き方改革を進めているが、なぜエマージェンシーモードが入らないのか」。

 慶応大学特任准教授の若新雄純氏は「地元の福井が大雪になったとき、国道も雪に埋もれていて商品に仕入れができないという状況なのに、大手コンビニチェーンが"出勤しなくていい"という判断をしなかったため、加盟店のスタッフは無理やり出勤した。日本人は"皆で休む"と決めていないと、"行かないといけない"という気持ちになる。今回の地震でも、"すぐに電車が復旧して、みんなが会社に行っちゃったらどうしよう"みたいな心理があったと思う。社会全体で"迷惑がかからないようにしよう"という規範を作り、子どもの避難訓練でも"押さない・駆けない・喋らない"に加え、"会社に行かない"ということも教えないといけない」と提案した。

 渡辺氏は「アメリカの場合、大きな災害が起きると、州知事や大統領が『非常事態宣言』を出すことで、様々な機関がエマージェンシーモードに切り替わる。ハリケーンの時にマイアミでびっくりしたのは、路線バスの行き先が"Emergency"に変わったこと。誰でも乗れるようになり、避難所に向かった。これから我々が迎え撃つことになる巨大地震のイメージが過少評価されている。このままだと、首都直下型、あるいは南海トラフ地震とはとても戦えない。若い皆さんにもぜひ考えてほしい。それをベースにして、政府が企業、社会に災害モードの形を提案する時期に来ている」と訴えた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)


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