井上尚弥【写真:Getty Images】

写真拡大

井上の挑戦を受けるマクドネルも断言「自分のやりたいようにできる自信がある」

 プロボクシングの前WBO世界スーパーフライ級王者・井上尚弥(大橋)は25日にWBA世界バンタム級タイトルマッチ(大田区総合体育館)で同級王者ジェイミー・マクドネル(英国)に挑戦する。圧倒的井上有利が伝えられる中で、王者陣営は「ジェイミーは勝利を当然と感じている」と自信を見せている。米ボクシング専門誌「リング」が伝えている。

 23日は調印式、記者会見が行われた。決戦まであと2日。日本のみならず、世界のボクシングファンも井上の勝利を信じて疑わない状況だが、10年間無敗の王者は不気味さを漂わせている。

「ジェイミー・マクドネルは打倒“モンスター”に自信」

 こう見出しをつけて伝えているのは、伝統ある専門誌「リング」だった。

「もし誰かが映画内のCGで作られた怪物に対面したら、ギャラを払いすぎた役者かのように叫んで必死で走るのが普通の反応だろう」

 記事では、独特の表現で、“怪物”井上とマクドネルの対戦にフォーカスしている。

「ジェイミー・マクドネルはハリウッドのようにはしない。“モンスター”と呼ばれる無敵のパウンド・フォー・パウンドの星、ナオヤ・イノウエと対決する金曜の12ラウンドの試合は映画ではない。世界のボクシング界で最も恐れられるファイターの一人とのショーダウンのため、32歳の英国人は600マイルを旅し日本にやってきた」

 同誌が選出する最新の「パウンド・フォー・パウンド」で7位の井上。スーパーフライ級ではあまりの強さに対戦相手が見つからなかった。3階級制覇を目指してバンタム級に転向したが、そこでも井上の強さは轟いていた。各団体の王者たちがしり込みする中で、勇敢にもマクドネルは挑戦を受け入れたのだと伝えている。

「彼はパワーがあるが、私は対処して自分のやりたいようにできる自信がある」

 戦前の予想は圧倒的な井上有利。だが、マクドネルは井上戦を前にこうコメントしている。

「彼は強打ができるが、ずっと階級を上げて相手を倒し続けることはできない。私は背のあるバンタム級だ。彼は少しパワーがあるだろうが、私は対処して自分のやりたいようにできる自信があるよ」

 165センチの井上に対し、マクドネルは175.5センチとその差は10.5センチ。体格面でのアドバンテージに王者は自信を持っているようだ。

 マクドネルのトレーナー、デイブ・コールドウエル氏も「人々はジェイミーが10年間無敵なことを忘れている。彼を倒せると見込まれた者たちと戦ってきたことも」と話し、これまでも不利な下馬評を覆して防衛を重ねてきたことを強調している。

「井上が対戦してきた相手を見てみると、全員が彼を恐れていた。恐れている人間を相手にするのと、勝利を当然と感じている人間を相手にするのは大きな違いがある。ジェイミーは勝利を当然と感じている」

 トレーナーはこう話し、マクドネルが過去の井上の対戦相手とは違うメンタルで臨むことを強調している。

 古くから“黄金のバンタム”と呼ばれるほど層の厚い階級。スーパー王者のライアン・バーネット(英国)が君臨しているとは言え、WBAの正規王座を6度も防衛しているマクドネルは決して簡単な相手ではないだろう。逆にこの王者を楽にクリアできるようなら、井上のバンタム級での前途は非常に明るいものとなる。(THE ANSWER編集部)