川島永嗣(撮影:佐野美樹/PICSPORT)

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16分、日本は2回目のPKを与えてしまった。10分のPKではネイマールに動きをじっくり観察され、飛んだ方向と逆にコロコロと転がされて失点してしまった。だが今度は川島永嗣のほうがじっくり相手を見切り、飛んできたボールをゴールの外にはじき出すことができた。

「1本目は早く動き過ぎちゃって。2本目はあそこに蹴ってくれたからよかったです」

だがそれでも3失点。日本はブラジルに格の違いを見せつけられた。

「緩急が上手いし、クサビもサイドからのボールも普段だったら通せないところも通してくる。そういうところは、普通にやる相手とは違いました」

隣から隣へボールをつながれるだけで、日本はピンチを作られてしまった。どんな問題点があったのか。

「自分たちが最初の選手にプレッシャーに行けなければ、一つずれると決定機をつくられてしまう。ゲームの中で、相手がどういうところを狙ってくるのかというのをしっかり把握しなければいけない。危険な場面を感じるという部分は自分たちがもっと成長しなければいけない部分だと感じました」

日本はプレッシャーをかけようとしたが、かわされて局面を悪化させていた。はたして、どんどんプレッシャーに行けというヴァイッド・ハリルホジッチ監督の指示は正しかったのか。川島はこう感じていた。

「あそこでプレスに行かなかったら、自分たちに勝てるチャンスはないと思います。ブロックを作り続けていても、自分たちの強みを出せない。だから、あそこはプレスに行くというのが、自分たちにとってもいい選択肢だったと思います」

「もちろん引かなければいけない時間はあると思いますけど、引いてもアタックするという気持ちを忘れないようにしなければいけない。そこにいるといういだけでは意味がないので。後半は良くはなりましたけど、それを最初からやらないと簡単にこういう形で前半で試合の決着を付けられてしまう」

はたして日本は成長していると言えるのだろうか。

「日本は成長してると言えたらうれしいですけど、結果だけ見ればまだまだの部分があると思います」。川島はそう語り始めたが、「成長」という言葉には引っかかったようだ。川島は「成長」という概念を捨てたほうがいいと言う。

「いつまでもそんなことを言っても仕方がない。もう自分たちの頭の中で概念を捨てたほうがいいと思います。もちろん差はあると思うけれど、格上だろうがワールドカップでは勝たなければいけないので。そういう気持ちの部分を変えなければいけないでしょう」

確かにワールドカップで対戦したのなら、相手がブラジルでも勝利を目指さなければいけない。この日の2本目のPKのように、ブラジルも完ぺきではないと川島は証明して見せたのだから。

【日本蹴球合同会社/森雅史】