うつ病で自殺を避けるため引退した…元英代表GKカークランドが告白

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『Guardian』は、元イングランド代表GKクリス・カークランドのインタビューを掲載した。

かつてリヴァプールやウィガン・アスレティックなどでプレーし、2006年にはイングランド代表でもプレーしたカークランド。

彼は昨年ベリーと契約したものの短期間の所属のみで退団し、その後現役を離れることを宣言していた。

そして、今回彼はキャリアの中でうつ病と戦っていたことを告白。選手向けの講演でメンタルヘルスについて話すことになった。

怪我に悩まされたと言われているカークランドであるが、キャリアの後半には精神面でも追い詰められていたという。

彼はギャリー・スピード(元ウェールズ代表MF、2011年に自殺)のように自ら命を断ってしまうことを恐れ、現役を離れたことを告白した。

クリス・カークランド

「ギャリー・スピードに何が起こったか。それが、僕にとって本当の心配だったんだ。そこに近づいていたのかどうか…。

私はいつも自分に尋ねた。『私は自分に何をしてきただろうか?自分に傷つけられてきただろうか?』

何もしていないと考えていた。それが一晩だけで終わるわけではない。考えて考えて…。皆そんなことは考えないものだ。なぜなら、次の日目を覚ましたくなくなるからだ。

妻のリーオナに言っていた。寝る時間が待ちきれないと。全てをクリアにしたいと。

しかし、次の日の朝になれば、また目覚めたくなかった。同じ考えが始まってしまうからね。

何かを起こしたくはなかった。妻や娘のルーシーのために。しかし『次のこと』に進んでしまうことを心配していた。

だから、私は言ったんだ。『もうサッカーを辞めなければならない』と」

【次ページ】「引退した時は、うつ病を恥じていた」

クリス・カークランド

「昨年6月にベリーと契約したが、8月にはもう疲れていた。一度フリットクロフト監督に休養を摂るよう言われ、その後戻った。

トレーニングをやり直し、3日目には5人制のミニゲームに出た。シュートが飛んできたが、ダイビングも出来なかった。

そして思った。『もうこれ以上いたくない』と。監督のところにまっすぐ歩いていって、『これ以上は出来ない』と伝えた。

契約を解除する必要があると話した。それが、引退を表明した時の話だよ」

「引退した時は、うつ病のことは口に出さなかった。それを恥じていたからだよ。

その時点では誰の助けも受けていなかったし、誰も知らなかった。ただ、その後リーオナに言ったんだ。『私は、何かしなければならない』と。

そこでPFA(プロフットボール選手協会)のマイケル・ベネットに連絡を取った」

(木曜日にはセント・ジョージズ・パークでメンタルヘルスについて講演する予定だ)

「私にとって、今は話すのは簡単だ。なぜなら、もう自分はそこから離れているからね。

これは最も大きなことだよ。他の人にも、他の選手にも、誰かが話すことを知ってもらいたい。

私は、自分がこれについて話し始めるまで、道を見つけることができなかった。恐怖があった。

しかし、ちゃんと明かすことができれば、自分自身でもケアできるし、家族も助けてくれる」

【次ページ】「心理士のカウンセリングが重要だった」

クリス・カークランド

(2015年にプレストンと契約したが、そのシーズンに愛犬のマックスが死去し、友人もガンで失った。社交的なタイプではない君は、有名人という立場に居心地が悪かった)

「大きな打撃だった。最終的には、外出もしたくなくなった。人々と話したくもない。電話を遮断して、返事もできない。家に帰りたくて仕方がない。

これは悪循環だった。そのスパイラルのなかで自分を得ることは出来ないんだ。

適切な考えを持てなかった。いい方法を見いだせなかった。ベッドから出たくない。いつもやっていたことすらやりたくない。何もしたくない。自分の殻に閉じこもりたかった。

何が起きているのかわからなかった。資料を読めば、これはうつ病だとわかるものだが、私は診断を受けていなかった。その時はね。誰にもこのことを言っていなかったから」

カークランドは今年1月にポート・ヴェイルのGKコーチに就任し、現在はリヴァプールの北にある街オートンに戻っている。

そして自身のGKアカデミーを設立し、娘が所属しているU-11のチームも監督しているという。なお、娘はGKだそう。

クリス・カークランド

(マンチェスターにいる女性の心理士によるカウンセリングが重要だった?)

「彼女は驚異的な働きをしてくれた。最初は少なくとも週に1回は通っていたが、今は2〜3週に1回だ。

私は不安で苦しんでいたので、呼吸法などの対処の方法も教えてくれた。それをまだ実践しているよ。

治療は進行中のプロセスだが、私はこれを完了させられると思っているよ」