By GreatWhiteNorthEh

アメリカではオピオイド依存症が増加しており、南フロリダは薬物依存症治療のメッカになっているとのこと。全米からウワサを聞きつけた薬物依存症患者が南フロリダに治療を求めてやってくるのですが、一部の悪質な薬物治療センターでは、不必要な治療と検査で料金を水増しして健康保険から料金を支払わせるという「ビジネス」が横行しており、これらの不正行為は「患者売買」または「身体売買」と呼ばれています。

People With Addictions Lured To Bogus Rehab Treatment Via 'Body Brokers' : Shots - Health News : NPR

http://www.npr.org/sections/health-shots/2017/08/15/542630442/body-brokers-get-kickbacks-to-lure-people-with-addictions-to-bad-rehab

南フロリダで「患者売買」を目的とした薬物治療センターでは、まず始めに健康保険に加入している「クライアント」を探すところから始まります。ターゲットは薬物治療センターを訪れる患者や、地元のスターバックスでたむろしている薬物使用者に声をかけるといった方法で見つけ出しているとのこと。



薬物治療センターは健康保険を持つ患者を「Sober Home(シラフの家)」と呼ばれる共同生活施設に送ります。通常のSober Homeは薬物治療を終えた人が、一時的な住居として住むための施設ですが、悪徳な薬物治療センターは治療途中の患者をSober Homeに送り、1人あたり1週間500ドル(約5万5000円)程度のキックバックをSober Homeのオーナーに対して支払っています。そこで暮らす間に栄養カウンセリング、針治療、カイロプラティック治療などを受けられるのは事実ですが、不必要な尿検査などが繰り返され、患者は高額過ぎる治療費を請求されます。

悪徳な薬物治療センターの患者売買の被害に遭った25歳の男性は、Sober Homeを入ったり出たりしながら5年間の治療を受け、総額で60万ドル(約6600万円)以上を請求されていたとのこと。男性の母親が請求書の内容を確認したところ、5回の尿検査で9500ドル(約100万円)が請求されていたことなどから、まともな治療施設ではないことに気付いたそうです。



フロリダ州および連邦当局はこのような不正な薬物治療センターの解体を推し進めており、10カ月間で患者売買に関わる30人以上の不正な薬物治療センターのオーナーやSober Homeの所有者を逮捕・告発したことが報告されています。一例として、デルレイビーチ治療センターのオーナーを務めていたEric Snyder氏は、ニセ治療とカラ検査で保険会社に5800万ドル(約64億円)以上の不正請求の容疑で逮捕されています。Snyder氏はストリップクラブで健康保険を持つ麻薬利用者を探していたことを認めています。