真ん中に長い時間、居座らないサッカー。Jリーグでこれを実戦しているのは鹿島だ。石井監督から大岩剛監督に変わっても、その点に関して変化はない。柏戦(3−2・7月2日)、ガンバ大阪戦(1−0・7月5日)、FC東京戦(2−2・7月8日)という、アウェー3連戦を、移動込みの中2日で行うという信じ難い日程を、鹿島が2勝1分けで乗りきることができた大きな理由だと思う。
 
 柏戦は苦戦だったが、理由は相手もサイドを奪おうとしていたからだ。鹿島は柏にサイドを取られるとピンチに陥った。柏も同様。真ん中を進んでプレスを掛けられる割合が、鹿島の方が若干、少なかったことと、3−2というスコアは大きな関係がある。
 
 ガンバ大阪戦はスコアこそ1−0だったが、相手を中央付近に、よく追い込んでいた。中央付近の支配をガンバ大阪に譲ったのにもかかわらず、中盤を制することができた試合だ。

 FC東京戦は、悪コンディションで戦っていたことが明白なので、2−2という結果も、試合内容も割り引いて考える必要があるが、それでもFC東京よりはできていた。鹿島の方が勝ちやすいサッカーをしていた。数学的には、明らかに。

 だが、決して難しい話ではない。眺めのいいガンバ大阪のホーム、吹田スタジアムの上階から目を凝らせば、おぼろげながら浮かび上がってくる話でもある。数学的な話ではあるが感覚的だ。中央に追いやられ、その回りを取り囲まれる状態にはならないこと。そこでパスを奪われないこと。真ん中は危ない。もう少し声高に叫ばれるべき、サッカーの核心だと僕は思う。