人が描くのは最初だけ? 続きを自動で描いてくれる不思議なAIツール

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人工知能(AI)は、すでにいろいろなところで活用が始まっている。
画像の認識もAIが得意とするところだ。

そうした中、人間のかわりに絵を自動的に描いてくれるツール「sketch-rnn」が公開された。
公開されたのは、Googleが運用している人工知能を活用したデモプログラムを集めたサイト。

このツールは、誰でも利用できるので、ぜひ不思議な世界を体験してみよう。

●自分が描いた絵の続きをAIが描いてくれる?
Googleがリリースした「AutoDraw」(https://www.autodraw.com/)は、ユーザーがマウスやタッチペンなどで手書きした絵が何の絵なのかを自動的に認識して、きれいなイラストに変換してくれる人工知能(AI)を活用したツールだ。

素人の絵をプロレベルのイラストに変換できることから、ちょっと前に話題になった。


AutoDrawは、人間の描いた絵を人工知能が認識し、プロレベルの絵に置き換えてくれるツールだ。


AutoDrawは、人工知能を活用したデモプログラムを集めた「A.I. Experiments」で公開されたツールだが、同サイトで、また面白いツール「sketch-rnn」が公開された。

これは、ニューラルネットワークの技術を活用し、ユーザーが描いた絵の続きを推測して自動で描いてくれるツールだ。

sketch-rnnのページを表示したら、
・最初に「angel」「face」「cat」「bicycle」などの絵の種類を選ぶ
・そのあと、マウスやペンで絵を途中まで描く
すると人工知能が続きを推測して自動的に描いてくれるのだ。
推測で描かれた部分はすぐ消えて、繰り返し再描画される。

このツールでは、ユーザー自身が続きを描くとそれが優先され、描画を止めると、再び、続きが推測されて描かれる仕組みなのだ。

絵を保存するなら、保存したいタイミングで右上のフロッピーディスクのアイコンをクリックすると、SVG形式/PNG形式でファイル保存できる。


sketch-rnnのページ。最初に絵の種類を選択する。



絵を途中まで描くと、続きが推測されて自動的に描画される。薄い緑の線が自動的に描かれた部分だ。推測された部分はすぐに消えて、繰り返し別の線が描画される。ユーザーが続きを描くとそれが優先されて、また続きが描画される。



右上のフロッピーディスクのアイコンをクリックすると、SVG形式/PNG形式でファイル保存できる。


●一度に複数の絵を推測したり、似た絵を自動で描いたりするツールも公開
A.I. Experimentsでは、sketch-rnnと同じテクノロジーを使った別のツールも公開されている。

「Multi Predict」は、
ユーザーが描いた絵の続きを一度に複数推測して描くツールだ。
続きが描かれるのはsketch-rnnと同じだが、複数の絵が一度に描かれる点が異なる。

「Interpolation」は、
2つの絵を選択し、左の絵から右の絵までの変化を推測して自動的に描画するツールだ。
絵の種類を選んで[Interpolate!]ボタンをクリックすると、中央部分に絵が自動的に描かれる。なお、左右の絵をランダムに変化させることはできるが、種類の異なる絵を変化させることはできないようだ。

「Variational Auto-Encoder」は、
似た絵を自動的に描いてくれるツールだ。
絵の種類を選んでユーザーが絵を描き、[auto-encode]ボタンをクリックすると、それに似た複数の絵が自動的に描かれる。

いずれのツールも、今すぐ何かの役に立つかといわれるとピンとこないところはあるが、人工知能によって、これまでのコンピュータにはできなかった人の作業を手助けすることが可能になるのは実感できる。
描画の精度が上がっていけば、将来、絵の一部だけを描くだけで、あとはコンピュータが自動的に美しい絵に仕上げてくれるようになるかもしれない。


Multi Predictでは、人間が左側に絵を描くと、右側にその続きの絵がいっせいに描かれる。



Interpolationは、左側の絵が右側の絵に変化していく途中の絵を自動的に描くツールだ。



Variational Auto-Encoderは、人間の描いた絵と似た絵を人工知能が自動的に描くツールだ。筆者が描いたのは左側のネコで、右側のネコはすべて自動的に描かれたものだ。


AutoDraw
A.I. Experiments
sketch-rnn


井上健語(フリーランスライター)