米国が中国の銀行を制裁対象にした(イメージ)=(聯合ニュース)

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【ソウル聯合ニュース】米政府が29日(米東部時間)、核・ミサイル開発を進める北朝鮮と違法な取引をしたとして中国の金融機関と海運会社、中国人2人を独自の制裁対象に指定した。対象は中国の企業・団体、個人になっているが、今回の措置は北朝鮮への資金流入を断つことが目的のため、北朝鮮の反発が予想される。

 制裁対象になった中国の丹東銀行は、北朝鮮の核・ミサイル開発にかかわった疑いで中国当局に調べられ事実上解体した中国・鴻祥グループがかつて株式を保有していたことから、北朝鮮と少なからぬ金融取引があったとみられる。残りの個人と企業は、2005年9月にマカオの金融機関バンコ・デルタ・アジア(BDA)が米国の制裁対象となり北朝鮮の資産が凍結され金融取引が困難になった後、北朝鮮が中国人の名義を借りた口座を使う際などにかかわった可能性がある。
 米財務省はこの日の声明で、「北朝鮮が大量破壊兵器の開発を続け、国連安全保障理事会決議に違反したことへの対応だ」と説明。丹東銀行については「金融取引が禁じられた北朝鮮の核・ミサイル関連企業が数百万ドル(数億円)の金融取引をできるよう手伝った」とした。
 今回の制裁は、米トランプ政権が言及してきた「最大限の圧力」の一環といえる。
 過去に北朝鮮核問題を巡る6カ国協議やBDA問題にかかわった元青瓦台(韓国大統領府)統一外交安保戦略秘書官の朴善源(パク・ソンウォン)氏は、「中国当局は調査を経て独自の措置を取るだろう。最近、米中間で緊密な議論と協力があることを踏まえると、中国も米国の措置を受け入れた上で、措置を取ることになる」との見解を示した。
 当然、北朝鮮は反発することになる。北朝鮮は国際社会の「最大限の圧力」に「最大限の抑止」で応じている。
 05年のBDA制裁時には「われわれを窒息死せようとする行為」と反発。制裁が続いていた06年10月に最初の核実験に踏み切った。ただこの時は翌年の米朝協議でBDA問題の解決で一致し、6カ国協議が再開した。
 一方、現在は北朝鮮核問題を話し合う枠組みがすべて機能しておらず、北朝鮮の反発を止める手立ては見当たらない。
 北朝鮮の対応としては、大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験の強行が挙げられる。ICBMの前段階となる中距離弾道ミサイルの発射実験にはすでに成功しており、この時用いられた「火星12」のエンジンで年内にもICBMの初発射実験は可能と予想される。
 核実験も北朝鮮が持つ切り札だ。豊渓里の核実験場は最高指導部の命令さえあればいつでも核実験を実施できる態勢だとされる。
 韓国・仁済大の金錬鉄(キム・ヨンチョル)教授(統一学)は「北は『強硬には強硬』で、国際社会の圧力に対し挑発で立ち向かってきた。圧力が強まれば対応のレベルも高まる」と説明。米国の今回の措置については「中国も加わるとみられ、北の反発を制御する外交的な手段に窮するとみられる」と述べた。
mgk1202@yna.co.kr