栄養をバランスよく摂るように、とはよく言われることです。この「バランスよく」という表現には、あらゆる種類の栄養素を適量で、という意味が込められています。適量を守らず、ある食品が体に良いからと摂りすぎると、ビタミンやミネラルの過剰症となり、健康を害することがあります。

ビタミン・ミネラルの過剰症

体に必要な栄養素といえば、まずは3大栄養素である炭水化物・タンパク質・脂質です。そこへビタミンとミネラルを加えたものを5大栄養素と言い、さらに食物繊維を加えて6大栄養素と呼ばれることもあります。炭水化物・タンパク質・脂質は体を作るためのエネルギー源となる基本の栄養素。ビタミンとミネラルは体の機能を調整し、スムーズに働かせる役割があります。

ビタミンやミネラルは少しの量しか必要としないため、微量栄養素と言われますが、微量であっても欠かすことのできない栄養素です。ビタミンとミネラルはどちらも体内で合成されないので、食品から摂取する必要があります。一昔前までは、ビタミンやミネラルが足らない欠乏症が問題となることが多かったのですが、最近では特に先進国において、ある食品だけを食べ過ぎたりサプリメントの摂りすぎで、ビタミンやミネラルの過剰摂取が起こりやすくなっています。

脂溶性ビタミンの過剰摂取が起きやすい

ビタミンには水溶性ビタミン(ビタミンB群、Cなど)と脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、K)があります。過剰摂取が起きやすいのは脂溶性ビタミン。なぜなら脂溶性ビタミンは水に溶けにくく、体に溜まりやすい性質があるからです。一方、水溶性ビタミンは水に溶けやすいので、体に溜まることなく、尿として体の外に出ていきやすい性質があります。

過剰摂取の症状として、ビタミンAを摂りすぎると腹痛や吐き気、めまいなどが現れる可能性があります。またビタミンDは血液中のカルシウム濃度を高くするため、吐き気や悪心、食欲不振、けいれんなどが起きやすくなります。ビタミンKも摂りすぎると悪心や嘔吐などが起こることがあります。

食品添加物に使われるミネラルは、過剰摂取になりやすい

私たちの体内で必要とされるミネラルを必須ミネラルといい、ナトリウムやカリウムなど16種類あります。必須ミネラルは食品に含まれるほか、食品添加物として使用されることもあるため、知らない間に過剰摂取となることがあります。特に食塩の成分であるナトリウムは過剰摂取しやすく、ナトリウムを摂りすぎると高血圧やむくみの原因となり、心臓や腎臓の疾患、脳卒中などを招く恐れもあります。

他のミネラルでは、カルシウムの摂りすぎは尿路結石やビタミンやミネラルの吸収を阻害し、マグネシウムは血圧の低下や下痢、リンはホルモンを分泌する甲状腺の異常を招くことがあります。どんなに健康に良い食品でも、そればかり食べるのは危険なことなんです。サプリメントの摂りすぎが栄養バランスを崩すこともあります。偏食をせずに、食品、サプリメントは適量を守るようにしましょう。


writer:Akina