22日の東京株式市場は、前場の取引で、日経平均<1001>は2日続落。前日、電撃的に中国人民銀行(中央銀行)が人民元を対ドルで2%切り上げ、即時実施したことから、これを受けて、前日開かれた米株式市場でダウ平均が反落、一夜明けた東京市でも中国関連のビジネスを展開している日本企業が多いことで収益性の低下懸念や為替も円が人民元に連れ高となったことも嫌気され、市場参加者のろうばい売りを誘って全面安の展開となった。朝方の株式注文状況でも外人投資家は金額ベースで売り越しとなっていた。ただ、前場の大幅下落で、日経平均の下の方に出来ていた窓(1万1653−1万1659円)が埋まったことから、テクニカル的に後場からは売りが一巡後は、切り返してくると市場では見ている。

  日経平均の前場の終値は、前日比106.23円(0.90%)安の1万1680.50円、一時、前日比136円安の1万1650円にまで上げた。東証1部の出来高は6億8717万株となった。また、東証1部全銘柄の値動きを示す東証株価指数(TOPIX)も、9.16ポイント(0.77%)安の1185.60で前場を終えた。東証1部の値上がり銘柄数は302、値下がり数は1179、変わらずは166だった。

  東洋証券の大塚竜太マーケット・ストラテジストは、「人民元の切り上げで、ろうばい売りが広がった。前日は円安が進んで、輸出関連の自動車セクターがかなり買われていたが、人民元の切り上げで円が対ドルで連れ高となったことも響いた。ただ、円は111円台で、レベル的にはそれほど円高になっていないので、相場がこれほど下げる理由はなく、市場関係者も冷静になってくれば、日経平均の前場の安値1万1650円から戻してきているので、後場には切り返すと見ている」という。

  個別銘柄の動きでは、値上がり率トップには仕手系材料株が乱舞する状況で、また、人民元とは直接関係がないインターネット関連銘柄が買われた。ダブルクリックは新製品発表を控え、思惑買いが進み、12.19%高の13万8000円で引けた。また、オンラインゲームのケイブは1.98%高の103万円だった。人民元がらみでは、中国での生産ウエートが高い100円ショップのダイソーは人民元の上昇が利益に響くとの思惑で0.84%安の353円と下げた。また、同様な理由で、マブチモーターも1.25%安の6300円に急落していた。【了】