<THAAD配備をめぐって中韓関係が悪化する中、これまで長らく北朝鮮に次いで「嫌いな国」第2位だった日本を中国が追い抜いた>

過去数十年、日本と韓国の関係はぎくしゃくしていた。戦前に日本が朝鮮半島を併合し、日本の支配下では様々な蛮行があった。そんな歴史的背景から、韓国は日本をずっと毛嫌いしてきた。

しかし韓国のシンクタンク、アサン(峨山)政策研究院が今週発表した調査結果によると、韓国国民の間で中国への反感が高まる中、これまで北朝鮮に次ぐ「嫌いな国」2位だった日本が中国に抜かれたことがわかった(最も「嫌いな国」が北朝鮮なのは変わらず)。

「最も好き」の10から「最も嫌い」の0までの点数で評価するこの調査で、中国は昨年の調査結果の5点から急落して、今回は3.21点だった。日本は昨年と変わらず3.33点だった。

韓国世論の変化は、北朝鮮からのミサイルを迎撃する米軍の最新鋭ミサイル防衛システムTHAAD(高高度防衛ミサイル)の韓国への配備をめぐって、中国との関係が悪化していることを反映している。中国は度々、THAAD配備は中国の安全保障上の脅威だと韓国を非難している。

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中国の王毅外相は、昨年公表した声明で、「(THAAD配備は)関係国が必要な防衛を逸脱している。もし配備されれば、中国とロシアのそれぞれの安全保障戦略に直接に影響することになるだろう。朝鮮半島の核問題の解決を脅かすだけでなく、すでに緊張が高まっているところへ、火に油を注ぐことになる。さらに朝鮮半島の軍事的均衡を崩してしまう可能性もある」と述べている。

韓国製品ボイコットを呼びかけ

今年2月、中国はアメリカと韓国の双方に対して、米韓合同軍事演習に参加する部隊の数を減らし、規模を縮小するよう求めた。

この演習では毎年、北朝鮮からの攻撃を想定した実戦演習が行われているが、中国は今月、朝鮮半島の緊張緩和のために軍事演習を縮小するべきだと強く主張した。

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今年の軍事演習に対して、北朝鮮は例年にも増して神経を尖らせ、「我々の自主権が行使される領域にたった一つの火の粉でも落とせば、無慈悲な軍事的対応が開始されるだろう」という警告を出している。

中国は昨年以降、韓国へのTHAAD配備を批判し、韓国が中韓関係を脅かしていると警告していた。そして今年2月になると、中国政府やメディアは、韓国製品や韓国への観光旅行のボイコットを呼び掛け、特にTHAAD配備の用地を提供したロッテグループの中国国内のショップなどが標的になっている。

ただし、日韓関係が好転したわけではない。いわゆる従軍慰安婦問題に関しては、2015年に、日本側が「お詫びと反省」の気持を示し、この問題の最終的な解決とすることで日韓両国が合意に達した。しかし昨年12月、プサンの日本総領事館前に慰安婦像が設置され、反発した日本政府が長嶺駐韓大使を帰国させるなど、日韓関係は最近になって再び冷え込んでいる。

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エレノア・ロス