何かと厳しいこのご時世、経済的な理由などから親との同居を選択する家庭が増えてきているようですが、いざ同居、となるとどうしても「大変そう」「ストレスがたまりそう」などデメリットばかりを考えてしまいがちですよね。しかし、無料メルマガ『システマティックな「ま、いっか」家事術』の著者・真井花さんは、「子供のためにも積極的に親と同居すべき」と、そのメリットを紹介しています。

出来なくなっていく過程

さて、本日はトシヨリの役割のお話。

つい一世代前までは「親と同居なんてとんでもない!」と言われていました。結婚の条件として「家付きカー付きババ抜き」なんて言われた時代もあったくらいです。それほどまでに親との同居はストレスフルだったんでしょう。むー、わかるわかる。

…それから数十年が経ちました。相変わらず同居生活のストレスはテンコ盛りのままですが、経済的な理由などから、同居派が増えているようです。

ストレス>お金 の時代から ストレス≦お金

の時代になってきたのかもしれません。

同居は今も昔も双方にストレスをもたらすものですが、同居はメリットが大きいので、可能なら同居した方がいいと思っています。「は? 同居のメリット?」とか言われそうですが、同居すると老人への免疫がつくんです。そう、子供にね。

卵かニワトリかみたいな話しですが、同居に当っての心理的なハードルは子供のころ老人を身近に感じていたかに依るんです。私もオットもトシヨリと一緒に暮らした経験があるので、このハードルが低いんですよね。

ですが、トシヨリが身近でなかった人にしてみると、老人というもの年を取るということ自体が理解不能で珍しく、奇異な感じがしてしまうでしょう。なんて言うか、こう、「上手く触れない感じ」ってヤツでしょうか。

そして、親世代が同居を選択しなければ、その子供に老人の免疫がつくことはなく、したがっていつか老人になったあなたとも同居するはずがないということです。だよね?

「でも、オトシヨリなら近所や地域にいるし…」と思う方もいるかもしれません。老人に対する免疫とは、別の言葉でいうと「老化の過程をつぶさに見てきていること」を言うんですよ。子供の成長が「出来ることが増えていく過程」なら、大人の成長とは、「出来ないことが増えていく過程」を言うのです。すなわち老化と同義です。シビアですが、これが現実です。

自転車の運転がビンのフタを開けるのがトリセツを読むのが濡れた洗濯ものを持ち上げるのが階段を上がるのが親しい友人の名前を思い出すのが

だんだん出来なくなっていくんです。机上で…頭で解っているだけではなくて、身体が徐々に崩壊していく過程を近くでハッキリ見ていないと、免疫はつかないんですよ。

同居におけるトシヨリの役目は、出来ないことが増えていく有様を若い世代に見せておくこと。命の終わりを見せることが、将来トシヨリとの同居を選択させる免疫になるんですよ。

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『システマティックな「ま、いっか」家事術』

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食べるのは大好きだけど、作るのは超苦手。棚拭きとアイロンがけが何より嫌い。そんな家事オンチだった私がソレナリに家事をこなせるようになったワケ。家事全体を見渡して、最小の手間で最大のリターンを得る、具体的なシステムをお知らせするメールマガジンです。

出典元:まぐまぐニュース!