「動画配信戦国時代」を生き抜く条件

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2015年9月、米国の動画配信大手ネットフリックスが日本でサービスを開始し、通販大手のアマゾンも「Amazonプライム・ビデオ」の提供を始めた。日本国内でも10月に在京民放キー局共同の見逃し番組配信ポータル「TVer」が開設。12月には対話アプリ大手のラインが「LINE LIVE」を、2016年からはIT大手のサイバーエージェントが「AbemaTV」と、新規参入が相次いでいる。

しかし、動画配信事業が単独で成功する可能性は高くないとみている。日本に上陸した際は「5年以内に日本のテレビ局は壊滅する」とまで言われたネットフリックスだが、同社自身、日本だけで簡単に売り上げが上がるとは考えていない。狙いはむしろ、日本のコンテンツの調達にある。日本のアニメは世界中で見られているキラーコンテンツだし、ドラマや映画もアジアでは通用することが多い。それらの配信の権利を買ったり、新たなコンテンツを制作したりして、海外会員向けに配信し、会員増を目指している。

アマゾンにしても、ビデオ事業を本業であるネット通販の売り上げにつなげることが目的だ。動画配信を通じてAmazonプライムの会員数を増やし、同時に関連のDVDやグッズなどを通販で買ってもらう。

私は、この「動画配信戦国時代」を生き抜く方程式は「コンテンツ力×発信力(サイト)×他メディアや事業との連携」と考えている。コンテンツそのものの魅力を最大化し、それを集客力のあるサイトやアプリで発信、そのうえでほかのメディアや事業と連携させることで全体として収益を上げていく、ということだ。

例えば日本テレビの取り組み。2014年に米動画配信フールーを買収したが、地上波テレビの発信力に、無料の見逃し配信とフールーをうまく組み合わせることで相乗効果を出し始めている。

(次世代メディア研究所長 メディアアナリスト 鈴木祐司 構成=衣谷 康)