電光石火のペドロのゴールがチェルシーを勢い付け、マンチェスター・Uのプランを狂わせたのは事実だが、両者のサッカーの質には大きな差が感じられた。 (C) Getty Images

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 10月23日(現地時間)、プレミアリーグ第9節でチェルシーはマンチェスター・ユナイテッドを4-0で下した。
 
 3バックに移行してから2戦連続完封勝利と調子を挙げているチェルシーが、国内リーグでは2戦連続引き分けのマンチェスター・Uをホームに迎えた注目の一戦は、開始から30秒で動いた。
 
 左サイドのM・アロンソが縦に送ったボールに、ペドロが真っ先に反応してDFラインの裏側に抜け出し、そのままGKデ・ヘアをかわしてゴールに流し込んだ。
 
 あっという間にビハインドを負ったマンチェスター・Uは、反撃に転じ、しばらくは相手陣内で試合を進める。8分には、右サイドを突破したバレンシアが上げたクロスに、イブラヒモビッチが打点の高いヘッドで合わせるが、これはクロスバーを越えた。
 
 10分あたりから、今度はホームチームが攻勢に立つ。高い位置でプレッシャーをかけてボールを奪い、自在に動く前線の両サイド、アザールとペドロを中心にチャンスを作るチェルシーは、マンチェスター・Uを防戦一方に追い込んでいく。
 
 そして21分、CKでマンチェスター・Uの2選手に当たってこぼれたところを、ケイヒルが叩き込んでゴール。チェルシーは早々にリードを広げるのに成功した。
 
 26分にもペドロのパスカットから波状攻撃を仕掛け、その1分後には個人技で右サイドを突破したアザールがクロスでD・コスタの決定機を演出(ニアで合わせるもGKデ・ヘアが至近距離でブロック)するなど、チェルシーはチャンスを量産していった。
 
 攻守の切り替えが早いホームチームに翻弄されたマンチェスター・Uだが、前半残り10分あたりから攻撃を見せるようになり、終了間際には右サイドでバレンシアが立て続けに好クロスを入れるが、堅守のチェルシーDF陣にはね返された。
 
 後半開始からしばらく、マンチェスター・Uはチェルシーのピッチを広く使いながらのパス回しに苦しむ。52分には最終ラインで奮闘していたバイリーを負傷で欠くアクシデントに見舞われたが、ここでは何とか踏ん張り、56分にはアザールの決定機をCBスモーリングが気迫で阻んだ。
 
 するとアウェーチームは、後半開始から登場したマタが機能したこともあり、徐々に盛り返し、58分にはリンガードがドリブルから強烈なミドルで相手ゴールを脅かす(クルトワが横っ跳びでセーブ)。
 
 その後、再三、ペナルティーエリア前まで迫り、左右にボールを回しながらチェルシーDF陣を崩そうと試みるも、ラストパスの精度の低さとアイデアの欠如もあって、決定的な場面を創り出すまでには至らない。
 
 良い流れのなかでゴールを奪えないマンチェスター・Uに対し、チェルシーは62分、マティッチの縦パスを受けたアザールが、スモーリングをかわしてゴール右隅にシュートを突き刺す。これは、試合を決めるゴールと言っても良かった。
 
 70分には、中盤で奮闘していたカンテがペドロのパスを受けて前進し、巧みなフェイントでスモーリングをかわしてゴール。ダメ押しの4点目をチェルシーにもたらした。
 
 チェルシーが殊勲者のペドロ、アザールらをお役御免でベンチに下げ、スタジアムも歓喜に包まれるなか、マンチェスター・Uは何とか1点を返そうと攻め、イブラヒモビッチが複数の好機を得るも、DF陣の粘りとGKクルトワの美技に封じ込まれた。
 
 思わぬ大差がつき、コンテ監督率いるチェルシーは3試合連続の完封勝利。内容ともに文句なしで、さらなる勢いを得た。一方、苦痛に満ちた90分間を過ごしたマンチェスター・U……。モウリーニョ監督の苦悩の時は、まだ当分続きそうだ。