デビューシングル『サイレントマジョリティー』が新人ながらも売上30万枚を超えるヒット作となり、同曲のMVもYouTubeで2200万以上もの再生回数(8月6日現在)を記録した欅坂46。

そんな大成功を収めたデビュー曲に続く2ndシングル『世界には愛しかない』が8月10日にリリースされた。前作のMVがアイドル界のみならずさまざまな方面で大反響となったことで、次作に対する期待はかつてないほど高まり、「期待を下回るのでは?」という不安もあった。

しかし欅坂46および制作スタッフは、その高いハードルをいとも簡単に超える名曲を完成させた。『サイレントマジョリティー』を踏襲する、どこか哀愁が感じられるサウンドと、彼女たちの力強い歌声だけではなくポエトリーリーディングが乗るという、アイドルソングには斬新とも言える手法。これ関して、欅坂46運営委員会委員長・今野義雄氏は「ポエトリーリーディングの部分がどうなるかは、実際に聞いてみるまでわからないということで、今回は秋元(康)先生自らディレクションを行った」と説明する。
そんな力の入った楽曲のMVについても今野氏は「デビュー作が評価されたことで、振付、映像監督を前作と同じ布陣でいくことに迷いはなかった」と、世界的ダンサーTAKAHIRO(上野隆博)氏、映像監督の池田一真氏に再びオファーする。

「前作が話題になっていたので嬉しかったですけど、プレッシャーでもありました。今回も歌やダンスをしっかり見せた”かっこいい欅坂46”を踏襲する方向で進んでいたのですが、打ち合わせの中で「青春ドラマにしたい」という話が挙がったんです。5分の尺の中でドラマも見せたい、歌もダンスも見せるとなるとこれは相当ハードルが高いな……と悩みました。でも、この楽曲の最大の特徴であるポエトリーリーディングをしっかり軸にして構成していければ、音に乗ってる感じを壊さずにドラマ部分を描けるなと。そこに光明を見出したんです」(池田)

前作では都市開発中の渋谷で撮影を行ったことで、欅坂46にスタイリッシュなイメージを植え付けることに成功したが、池田氏は今回の撮影場所として北海道・苫前町の風力発電所にある広大な草原を選ぶ。この選択に今野氏は最初難色を示すが、池田氏の「自信があります」の一言と、草原の中に並んで立つ風力発電の風車というビジュアルのインパクト──文明の象徴と大自然の共存が面白いこと、また風車の並んでいる画が記号化された都会に見えなくもないという理由で、この提案を受け入れることとなった。