実は、クヨクヨ落ち込むタイプの人間です。



――最近、声優業が「なりたい職業ランキング」の上位に入ってきているそうです。こうした現状を、どう感じていらっしゃいますか?

やっぱり、ありがたいことですよね。僕のやっている仕事を見て、「ああなりたくないな」って思われたくないですから(笑)。自分も、やりたいと思ってなった仕事ですので、嬉しいです。昔はアニメ好きの人は「アニメおたく」と呼ばれて、しいたげられていた時期もあるでしょうけど(笑)、今は中高生でアニメ好きじゃない人を探すほうが難しいぐらいですよね。

――今、アニメは日本が誇る文化ですよね。そして声優も、みんなの憧れの職業で。

そういえば昔、声優志望の若者を集めて、声優の大先輩が出てきて、討論会をやる番組があったんです。そこで「君はどうして声優になりたいんだ?」って聞かれて、「顔に自信がないからです!」って言った人がいてね。それ、目の前にいる先生に失礼だろ! って(笑)。まあ、20年以上前の話ですが…。

――(笑)。でも確かに、昔はそういうイメージを持っている人も多かったかもしれません。

でも最近は「声優アーティスト」っていう言葉も生まれてるぐらいで、最初から「歌とかライブをやることも含めて声優になりたい」っていう人が多い。そういう時代になってきているんだなって思いました。

――声優業も、変わってきたのでしょうか?

そうやって言われることもあるけど、僕は「声優とはこういうもの」って、もともと決まっているわけじゃないなと思うんです。「声優っていう仕事」があるのであって、「声優っていう人」がいるわけじゃないんです。だから、俳優さんや女優さんが声優をやることもあるし、僕が声優以外のお仕事をすることもある。僕の先輩でも、舞台や新劇出身の声優さんもたくさんいらっしゃるし…。いろんなかたちがあっていいと思っています。



――インターネットの環境も、20年前と比べれば大きく変わりましたよね。山寺さんは、ネットでの評判をチェックしたり、そこでの意見を取り入れたりすることはありますか?

僕は、とってもクヨクヨ落ち込むタイプの人間なんです。「人の評判なんか気にしないよ」って言いつつ、一番気にする人間。たとえば、自分がやったお芝居のお客様アンケートも、公演中は絶対に読まないです。100コほめてあっても、1コけなしてあれば、次の日から舞台に立ちたくなくなるから(笑)。もう、打たれ弱くて。小さい頃から、いつも先生やまわりの人に怒られないようにしてた、ちょっとずるい子どもだったりして。

――打たれ弱い…。でも、否定的な意見と向き合いたくない気持ちは、誰にでもありますよね。

うん。でも、僕は本当に弱くて、「そんなに落ち込むか?」というぐらい落ち込むので。とにかくネットの評判なんか見ないようにしようと思うんですけど…同時に、とにかくほめてほしくてしょうがない(笑)。だからネットで自分のことがほめられているのを、たまに探しにいくんです。探しにいって、けなされているのを見つけて、落ち込む…。



――結局、落ち込んでしまうと(笑)。

そんなの気にしなくていいんだってわかっていながらも、でもその中に本音があるんじゃないかと思って。「あのときのモノマネはすごくウケたから、きっとほめてあるだろうな」って見てみると、「山ちゃんは何やっても60点ぐらいだよね」「0もないけど、100もないね」なんて書かれてて。

――うわぁ、見つけたくなかったものが…。

「ふざけんなー!」と一瞬思うけど、「そっか、まだまだだな」って。いつか100点出してやろうって、燃えたりね。そういうね、小さな人間なんですよ、僕は。もっと自分に自信を持ちたいですね。過信だけはしたくないけれど。でも、みなさん、どうぞ優しくしてください。本当は、ほめられて伸びるタイプなんです!(笑)



表現者として、役者として、もっと高みを目指したい。



――『おはスタ』卒業でライフスタイルも変わり、ひとつの区切りがついたところだと思いますが、この先の目標は?

さっきの話とつなげると、「ブレない生き方」をしたいなと。自分自身をもっとしっかり持っていたいと。僕ももう55ですからね。昔の公務員だったら定年になる歳ですから。

――これからのご活躍が、ますます楽しみです!

まだまだやりたいことも、チャレンジしたいこともいっぱいあります。コメディをやっていきたくて、昨年は「ラフィングライブ」という演劇ユニットを立ち上げました。こうした舞台でも結果を出していきたいですし。もっともっと高みを目指して努力して、いい役者、いい表現者になりたいなと思っています。



――山寺さんに憧れて、声優を目指している若い人たちがたくさんいます。最後に、彼らに向けてメッセージをお願いできますか?

今は声優を目指す人も多いし、プロとしてやっていくには、僕なんかが想像できないぐらい狭き門になっていると思います。でも同時に、常に才能のある人材が求められてもいるんですよ。目指す上でいろんなことがあるだろうし、よく運だとか、出会いだとかも言われますけど、それでも声優業は、本当に実力がものを言う世界だと、僕は思うんです。本当に才能のある人だったら、やっていける世界。僕もそういう人たちと一緒に仕事をしたいし、そういう人から刺激を受けたいと思っているので、ぜひ頑張ってください!



【プロフィール】
山寺宏一(やまでら・こういち)/1961年6月17日生まれ、宮城県出身。A型。1985年に声優デビュー。その声色の幅広さから「七色の声を持つ男」と呼ばれる。『それいけ! アンパンマン』(日本テレビ系)のめいけんチーズ、『新世紀エヴァンゲリオン』(テレビ東京系)の加持リョウジをはじめとしたアニメの声のほか、ジム・キャリー、ブラッド・ピッド、エディ・マーフィ、トム・ハンクスなど数々の洋画の吹替を担当。俳優、タレント、ナレーター、ラジオDJ、バラエティの分野でも活躍しており、1997年より18年半にわたって『おはスタ』(テレビ東京系)の司会を務めた。2015年に演劇ユニット「ラフィングライブ」を立ち上げ、さらに活躍の場を広げている。
【Twitter】@yamachanoha




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■応募方法:ライブドアニュースのTwitterアカウント(@livedoornews)をフォロー&以下のツイートをRT


■受付期間:7月20日(水)12:00〜7月26日(火)12:00

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・当選者発表日/2016年7月27日(水)
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・当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから7月27日(水)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただきます。7月30日(土)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。

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