中国メディア・‌新聞晨報は3日、日本の岸田文雄外相が1日にアフマド・ザヒド・ハミディ・マレーシア副首相と会談し、高速鉄道計画に日本の新幹線技術の採用を要請したと報じるとともに、マレーシア−シンガポール高速鉄道の受注を巡って日中両国が「最後の戦いに入ろうとしている」とする、国外メディアの報道を伝える記事を掲載した。(イメージ写真提供:123RF)

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 中国メディア・‌新聞晨報は3日、日本の岸田文雄外相が1日にアフマド・ザヒド・ハミディ・マレーシア副首相と会談し、高速鉄道計画に日本の新幹線技術の採用を要請したと報じるとともに、マレーシア-シンガポール高速鉄道の受注を巡って日中両国が「最後の戦いに入ろうとしている」とする、国外メディアの報道を伝える記事を掲載した。

 記事は、「馬新高鉄」と称される同高速鉄道について、全長350キロメートル、設計時速300キロメートルで、クアラルンプール-シンガポール間を約90分で結ぶ予定であると紹介。その投資規模は120億-150億米ドルとされ、東南アジア地域最大規模のインフラ建設プロジェクトであると説明した。

 そのうえで、日本側が岸田外相による「売り込み」を仕掛ければ、中国側も1週間前に中国鉄路総公司の盛光祖総経理をマレーシアに送り込んで協力強化を求めたことを伝えた。

 そして、シンガポールメディア・ストレーツタイムズから、2017年第1四半期の発注先決定に向けて日中両国が「最後の対決を展開しようとしている」との報道が出たとした。また、シンガポール南洋理工大学の国際関係専門家が、受注を巡る焦点は「コストパフォーマンスと安全性」にあるとし、技術的に優れ安全性の高い日本と、建設速度やコストパフォーマンスの高い中国を前にマレーシア側が「どちらも捨てがたい」状況に陥っており、それが原因で15年着工、20年営業開始の予定が大きく遅れてしまっていると指摘したことを併せて紹介している。

 記事は、中国にとって「馬新高鉄」がいかに戦略的に重要なプロジェクトと目されているかについても、国外メディアの報道内容から紹介している。中国と日本双方の「本気」がぶつかり合う「馬新高鉄」の受注を巡る争い。マレーシアにとっては今後の両国との関係発展を左右しかねない問題だけに、苦渋のうえの慎重な決断を迫られることになる。3カ国の思惑が複雑に絡み合った受注合戦も、いよいよ佳境に入ってきた。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)