創業者の遺訓が生き続けるのも社風

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 就職活動において学生が発言の定番ともいえるのが「御社の社風が合うと思いました」というものだ。ならばこの「社風」とは一体何なのか。日本を代表する電機業界の社風を見てみよう。

 ここ十数年、苦境に立たされる会社が増えた日本の電機業界。かつては世界ブランドとして名を馳せたパナソニック、ソニーも例外ではない。「保守的なパナソニック」、「革新的なソニー」がそれぞれの社風だったが、それも変容しつつある。

 松下電器からパナソニックに社名変更するなど“脱松下”で改革を進めてはいるものの、「ソーラーパネルなど環境技術の導入が期待された、三洋電機買収の効果もあまり得られていない」(経済ジャーナリストの永井隆氏)のが現状だ。

 対するソニーは「自由闊達」が創業時からの社風で、立場に関係なく、フランクに話し合える自由な雰囲気があった。

「しかし、1990年代後半に当時の出井伸之社長がコンテンツに舵を切り、本来のモノづくりから離れたことが裏目に出て、チャレンジ精神は失われつつある」(永井氏)

 一方で、“創業者の遺訓”が社風として生き続けているのもこの2社の特徴。永井氏はこう指摘する。

「松下幸之助の“絶対に夢を諦めない”というのがパナソニックのモットーで、市場から撤退してもわずかな人を残して研究を続ける。それで花開いたのが高容量リチウムイオン電池の開発。今ではテスラモーターズなど電気自動車に採用されている。

 一方のソニーは世界で初めてリチウムイオン電池を商品化したが、『人を傷つけるものはつくらない』という創業者・井深大の遺訓があり、自動車向けには本腰を入れなかった。その点では非常に慎重。リチウムイオン電池をめぐる展開の仕方は両社の社風が端的に表れている」

※SAPIO2016年3月号