『ユニクロ』が大苦戦している。運営会社ファーストリテイリングが新年早々に発表した2016年第1四半期(昨年9〜11月)決算は、純利益が前年同期比30%減の480億円まで落ち込み、当期としては5年ぶりの減益だった。加えて昨年12月の既存店売上高、客数ともに前年比2ケタ減で、たまりかねた同社は、昨年10月に発表した今年8月期の業績見通しを早くも下方修正した。
 「失速の理由として指摘されているのは暖冬と2年連続の値上げの影響ですが、これはある程度織り込み済みです。しかし、今期の見通しを発表からわずか3カ月で下方修正したのは明らかに異常事態。柳井商法が賞味期限切れを迎えたことを意味します」(担当記者)

 柳井正会長兼社長(66)は事実上の創業者オーナーだが、現実には「折り込みチラシの微妙な表現にまで介入するほど特異なキャラクターの持ち主」(関係者)。要は「超」の字が付くワンマンで、将来の社長候補を次々とパージしてきたことから「候補キラー」の異名も取る。関係者が続ける。
 「その意味では『俺が-』の頑固者。だから依然としてベーシック路線に固執している。ここへ来て客離れが止まらないのは、何も値上げや暖冬の影響ばかりではありません」

 とはいえ、周囲の諫言にそう簡単に耳を貸す御仁ではない。実際、65歳でのリタイアを宣言したものの、依然として社長兼会長としてにらみを利かせている。それでも業績の急ブレーキが止まらず、またゾロ下方修正を迫られるようだと晩節を汚しかねない。
 そこで密かに囁かれているのが、2人いる御曹司へのバトンタッチだ。かねて柳井社長は「世襲をしない」と公言してきたが、リタイア宣言と同様に世襲否定を反故にしたところで、もう世間は驚かない。
 「御曹司が社長になれば父親の経営スタイルを刷新する。ファッション性を重視した展開ならば、業績回復も十分あり得ます」(証券アナリスト)

 “会長カラー”に染まりきったユニクロには、それぐらいの荒療治が不可欠かも。