RIZIN公式サイトより

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 大みそかの視聴率が7.3%だと報じられた新格闘技イベントの『RIZIN』だが、これはもっとも高かった第2部(20時45分〜22時30分)の数字。実際には19時からの第1部が5.0%で、22時30分からの第3部が3.7%、全体平均では5%台だったというのが正しいだろう。

 放送したフジテレビは大みそかの視聴率が惨敗続きで、近年は2〜4%台だったため、これに比べたら躍進ということになるが、同局の関係者に言わせれば「費用対効果はよくない」と否定的だ。

「スポーツ興行は放映権料が高く、中継車を出さなければならないから、経費の大きいシロモノ。昨年はたしかに数字が低かったですが、21時までの『フェイス・オブ2014』は4.0%でも、タレントによるスタジオトークとVTR素材主体で、ゴーストライター騒動の音楽家、新垣隆さんを生演奏で呼んだ程度の安上がりな作り。21時からはアニメ映画『ワンピース』(3.3%)で、そもそも番組作り自体をしていないので、数字が悪くても損失は小さかった。金のかかる『RIZIN』はよほどのビッグカードが並ばない限り、次の大みそかに放送するとしても、今回のような大がかりな規模にするのは難しそう」(同)

『RIZIN』の放送に携わった関係者の間でショックだったのは、もうひとつ、29日の方だ。こちらは19時から井上尚弥らがKO勝利を飾ったプロボクシング世界戦を放送し、21時から『RIZIN』を放送。ほぼ2時間ずつの構成だったが、ボクシングが7.2%だったところ、『RIZIN』は6.4%と数字を落とした。同時間帯は前年度、フィギュアスケートが7.3%で、音楽番組の『HEY!HEY!HEY!MUSIC CHAMP』が10.9%、これと比較すれば『RIZIN』の数字が芳しくなかったというのは否定できない。

 その原因は、格闘技人気自体の低下だ。『RIZIN』は興行的にも観戦チケットがダブつき、主催者が急きょ座席を減らして安い席の購入者を前方に振り替えたほど大苦戦。特に29日の集客には苦労し、見た目にも空席だらけで会場の半分ほどしか埋まっていなかったのだ。格闘技ライターからもこんな話が聞かれる。

「同業の格闘技マスコミは自分たちの食い扶持になるので必死に盛り上がったことを強調していて、格闘技マニアも同調しているんですけど、目玉が引退して何年もブランクのあったエメリヤーエンコ・ヒョードルや桜庭和志、格闘技戦から遠ざかっていた曙とボブ・サップだったというのは、今後の継続性に不安を残します。総合格闘技イベントのはずが、主要選手の多くはアメリカのUFCを目指していてマッチメイクに苦労したあげく、K-1ルール採用など他競技の試合を入れた結果、コンセプトがぐちゃぐちゃになっていた。これでは将来性がない」

 ほか、元大相撲の把瑠都がデビュー戦を行ったが、予定していた相手のジェロム・レ・バンナに契約トラブルでドタキャンされたのは「ギャラに不満があったようだ」と同ライター。

「把瑠都の引き立て役は明らかだったので“負け代”としての上乗せを求めたところ、応じてもらえなかったらしいです。PRIDE時代ならギャラを上乗せしてでも強引に呼んでいたので、思ったほどチケットが売れなかったことも影響したのでは」(同)

 結局、対戦相手は把瑠都の打撃コーチとして来日していたピーター・アーツを担ぎ出したが、引退の身で総合格闘技の選手ですらないアーツに、把瑠都は体ごと押し込むばかりで、UFCなどで見られるシャープな攻防にはとても及ばない不細工な内容に終わった。

 大みそかの放送はTBSが放送したプロボクシングとスポーツバラエティの『KYOKUGEN』が1部8.8%、2部7.7%、3部9.0%、4部4.6%で、平均すればフジより上。特に3部は魔裟斗と山本KIDのエキシビションマッチであったにもかかわらず、真剣勝負の『RIZIN』がこれに敗れてしまった。

 前身団体のPRIDEは暴力団との関係が表になりフジは中継から撤退しているが、今回はそのほぼ同じ運営者で『RIZIN』を復活させており、一部からは倫理的な問題の指摘もされているが、それより辛いのが如実に示された格闘技人気の衰退だった。

 前出のフジ関係者も「5〜6%の数字はとっても8〜10%とることはまずないというのが格闘技中継の現実。今年の大みそかに放送するというなら、少なくとも予算枠は縮小することになりそう」と話している。
(文=ハイセーヤスダ)