いまや、日本でも、クレジットカード決済はかなり多く使われるようになっている。銀行口座から現金をおろさなくてもクレジットカードさえあれば、キャッシュレスで決済ができる。
すでにこの「簡単に買い物ができる」システムは、町のスーパーでもかなり導入されているし、「クレカでお買い物」は確実に市民権を得ている。

そしてクレカの次に来るのが「モバイル決済」だ。
普段持ち歩いている携帯電話やスマートフォンで、現金なし、クレジットカードなしで決済しようというもの。

想像するとちょっと怖いかもしれないが、たとえば自販機で何か飲み物を買う際、わざわざおサイフを取り出して、中から小銭を出さなくても、自販機に直接スマホで決済できれば便利、という発想だ。

◎モバイル決済の元祖はおサイフケータイ
「携帯電話で決済ってガラケー時代のおサイフケータイでしょ」と思う人も多いはず。
そう、モバイル決済の元祖といえば「おサイフケータイ」。NTTドコモから始まって、携帯電話キャリア各社がそれぞれ決済サービスを展開し、当時、かなり普及していた。決済が終了すると鳴る「チャリン」という音、お店の会計時に並んでいてよく聞いたものだ。

しかし、せっかく普及していたおサイフケータイなのだが、iPhoneは非対応であったため、多くの人がフューチャーフォンからスマホに移行する際にあきらめた機能の1つでもある(中には、スマホケースにSuicaなどのICカード類を仕込んで、仮想的におサイフケータイを実現しているという人もいたが)。

残念なことに、こうして一般層にその影響が届く前に、携帯電話→スマーフォトンに移行してしまったことで、モバイル決済もそこで止まってしまったように思えた。

しかし、そこに登場したのが、Apple Pay。モバイルテクノロジーは、やはりモバイル決済を目指していたのだ。

Apple Payいよいよ中国上陸?
2014年10月にiPhoneで決済が可能なシステムとして、Appleがモバイル決済サービス「Apple Pay」をアメリカで始めた。Apple Payは、クレジット(あるいはデビットカード)を登録し、店頭でおサイフケータイのようにアプリ内で決済をすることができるというサービス。

従来のクレジットカード、デビットカードにおいて、カードの不正使用問題に悩まされるクレジットカード会社にとってはApple Payの「指紋認証」と「読み取り端末」は「喉から手が出るほど欲しいシステム」だという。

iPhone 6以降のOSは、指紋認証を行うだけで決済が可能となる。いまのところ、アメリカ、イギリス、カナダで始まっている。
まだ日本では「いつから」というアナウンスはないのが残念なのだが、Apple Payは次に中国で開始という話も聞こえてきている。これには、中国ではモバイル決済が相当進んでいるという事情もあるだろう。

進んでいるというのは店舗が対応しているということ。
スマホアプリ側でクレジットカード(あるいはデビットカード)を使用するには、店舗側にも決済を読み取るデバイス(クレジットカードで決済するときのカードリーダーのようなもの)が必要となる。
サービス普及には、どちらか先かという問題なのだが、使える店舗が多ければ、使おうとするユーザーも当然、多くなる。

◎日本でもサービスが次々と登場
日本でも「PayPal Here」、「Coiney」、「楽天スマートペイ」、「Square」などのモバイル決済サービスがすでに始まっている。
また、中国からの観光客を意識し、2015年大丸松坂屋百貨店が中国人客向けのスマートフォン決済システム(WeChatの中国最大のSNSの決済機能に対応する)を新たに導入したというニュースもある。

そのほか、リクルートライフスタイルは、「モバイル決済 for Airレジ」の提供を12月1日から開始することを発表。まずは4億人以上の会員を持つ中国最大級の決済アプリ「Alipay(アリペイ)」を使った決済を可能にするほか、2016年春頃を目処に「LINE Pay」にも対応するという。

使う側の人間にとっては、どのサービスを利用するかは
「どれだけ実店舗に導入されているか」なので、現時点では、何とも言い難い。

実際、どのサービスがどのくらいの店舗に導入されるのだろうか。
それによって、ユーザーがどのサービスを利用するか判断することになるだろう。

今後、デファクトスタンダードがApple Payになるかはわからないが、時代は確実にモバイル決済に移行することになるだろう。2016年には本格的な動きが見えてきそうだ。


大内孝子