新たなアトピー治療法となるか。写真はイメージ

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米エール大学医学大学院の研究チームは2015年7月15日、関節リウマチ治療薬の「トファニシチブ」を服用すると中〜重度のアトピー性皮膚炎の症状を緩和できるとの研究結果を、米国皮膚科学会誌「Journal of the American Academy of Dermatology」オンライン版で発表した。

トファニシチブは免疫を抑制することで、関節リウマチによる炎症や痛み、関節破壊を抑える治療薬。国内でも「ゼルヤンツ」の名称で販売されている。その性質上、皮膚の炎症にも効果があるのではないかと考えられていた。

研究チームは実際に効果があるか検証するため、ステロイドなどによる治療が失敗した中〜重度のアトピー性皮膚炎患者6人に、29週間に渡ってトファニシチブを経口投与し、皮膚炎症の面積やむくみ、紅斑の状況をスコア化して観察した。その結果、患者全員に平均して66.6%のスコア低下が確認され、症状の改善がみられた。

研究者らはトファニシチブがアトピー性皮膚炎の改善、緩和に有効である可能性があるとしつつ、研究のサンプル数が少なく偽薬試験やバイアスの確認ができていない点、トファニシチブは厳格なガイドラインを守って使用しなければ重篤な副作用が起きる薬剤である点をあげ、今後、検証が進むまではアトピーの治療には用いないようコメントしている。

参考論文
Treatment of recalcitrant atopic dermatitis with the oral Janus kinase inhibitor tofacitinib citrate.
DOI: 10.1016/j.jaad.2015.06.045 PMID: 26194706

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